児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

おもしろ科学質問箱

「星と星がぶつかることはないの ?」 おもしろ科学質問箱 5

夜空を見上げると、それこそ無数の星たちがぎっしりと、ひしめくようにきらめいています。こんなにたくさんあるのだから、ぶつかってしまうこともあるのでは? と思ってしまいます。でも、それぞれの星同士は、これまたとてつもなくはなれた距離にあるのです。

たとえば、私たちの住む地球は、太陽系といって、太陽と太陽のまわりをまわっている8つの星を中心にしたグループです。太陽に近い順に、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星があります。太陽のように自分で輝く星を「恒星」というのに対し、太陽の光を反射する地球を含むこれらの星を「惑星」と呼びます。(冥王星は、太陽系の惑星とされてきましたが、2006年に開かれた国際天文学連合の総会で「準惑星」と分類されました)

太陽系の仲間だけでも、どのくらい離れて存在しているのかを、太陽をあなたの頭の大きさだと仮定して考えてみましょう。すると、いちばん太陽に近い水星は、あなたの頭から6メートルも離れたところの直径1mmほどの丸い粒でしかありません。金星は10メートル離れたところにある直径2mmほどの球、私たちの地球は、あなたの頭より15メートルも離れたところにある2.5mmほどの球体です。次の火星は、23メートル離れた地球より一回り小さな星です。続いて惑星の中で一番大きな木星は、80メートルも離れたところにある直径1.4cmのビー玉ほどの大きさです。土星は140メートル、天王星は300メートル、海王星は450メートルも離れています。そして、それぞれの惑星は、太陽の引力に引っぱられて、地球が1年かけて太陽の周りをまわるように、どの惑星も自分の軌道からはずれることなく、きちんと太陽のまわりを回っているのを知れば、宇宙にある星たちがぶつかることはない、と断定してよいでしょう。

ちなみに、太陽以外の地球から一番近い恒星は、ケンタウルス座のアルファ星ですが、これが4.3光年だそうです。星の距離はキロメートルという単位でははかりきれないので、光年という名称を使います。光は1秒間に30万キロメートル、1年間で10兆キロメートル走ります。そのためアルファ星との距離は40兆キロメートル以上も離れていることになります。もう想像するだけで、頭がこんがらがりそうですね。

「どうして日に焼けると黒くなるの ?」 おもしろ科学質問箱 4

日焼けをすると、皮膚の中にあるチロシンというのが、メラニンとよばれる茶色のつぶつぶに変わります。そのため、日に焼けると黒くなるのです。でも、黒くなるのは、1日か2日たってからで、はじめは、赤くなります。それは、強い日光が身体の中に入ると、血管が広がって、やけどをしたようになってしまいます。やけどしては大変なので、メラニン色素というのが増えて、日光が身体の中に入るのを防ごうとするのです。ちょうど、カーテンで日ざしを防ぐのに似ています。

日光は、次のように、私たちの身体によい効果をもたらせてくれます。
(1) 皮膚に住みついている細菌を殺します。
(2) 身体の中で病原菌とたたかう細胞を刺激して、活動をさかんにします。
(3) 日光の働きで、筋肉や神経が元気になります。
(4) 日光の中の紫外線が、皮膚の中で化学変化をおこして、骨や歯をつくるのに大切なビタミンDを作り出します。

でも、薬を飲みすぎると身体によくないように、日焼けしすぎることに注意しなくてはなりません。将来、シミやソバカスが増えたり、皮膚ガンの要因になったりすることがよくあるからです。

「セーターをぬぐとき、どうしてパチパチするの ?」  おもしろ科学質問箱 3

どんな物(物質)も「原子」とよばれる小さな粒からできています。一つ一つの原子も、もっと小さな粒からできていて、その中にはプラスの電気をもった粒子(陽子)と、マイナスをもった粒子(電子)がたくさんあります。ほおっておくと、それらが平均してまじっているため、電気がないようにみえます。

ところが、毛糸のセーターの下に化学せんいの下着をきていると、それをぬぐとき、くっついてパチパチ音がします。こういう現象を科学では、セーターと下着が「帯電した」といいます。電気を帯びたという意味です。セルロイドの下敷きをわきの下に入れて引っぱったり、はっぽうスチロールを毛皮や絹の布などでこすったりしても、同じことがおきます。こんなふうに、ある物質を別の物質でこすったりしたときにできる電気のことを、静電気とか、マサツ電気といいます。

ふだんセーターは、陽子と電子を同じ数だけ持っているため、プラスとマイナスの電気がつりあっています。セーターをぬぐと、セーターの電子の一部が下着のほうに移るため、セーターの陽子が余ってしまいます。そのためセーターは、プラスの電気を帯びて、下着を引きつけます。それがセーターをぬぐことで、空気中に電気が無理やり通るために(これを「放電」といいます) 熱が出て、その熱が空気をふくらませて、パチパチ音がするのです。これを暗いところでやってみると、パチパチ光るのがわかります。静電気(マサツ電気)は火花だからです。

カミナリも、セーターにくっついた下着を無理やり引き離したときに起きる放電の規模を、とてつもなく大きくしたようなものです。雲と雲や、雲と地面の間で帯電する現象で、放電の光が稲妻(イナビカリ)で、パチパチする音がカミナリのゴロゴロです。

なお、静電気というのは、文字通り静止している電気です。針金を通してつたわる電気は動いている電気で、これは「電流」といって区別しています。

幼い子からの表記の疑問に対する回答は、「マサツ電気というのがおきたの」 という程度でよいのではないでしょうか。

「どうして、ナマズは地震が起こる前にわかるの?」  おもしろ科学質問箱 2

5歳の孫を、親のピンチヒッターで幼稚園へ車で送っていくことがよくあります。大通りに大きなナマズの絵がかかっていて、「この道路は震度5以上の地震の際には、通行止めになることがあります」 と書いてあります。ナマズが地震を予知することができると、親から聞いていたからなのでしょう。そのため、上記の質問を私にぶつけてきました。

昔は、地震がどうしておこるかわからなくて、大きなナマズが地下で暴れるためにおこると考えていたらしい。今から300年も前の江戸時代に描かれたマンガには、江戸の市民が大勢で地震をおこしたナマズをやっつけているのがある。だから、地震のことを知らせるには、ナマズの絵を見せれば、みんなが注目してくれるから、あんな看板を立てているだと思う。

昔とちがって今は、どうして地震がおきるかわかってきた。
地球の中は、半分かたまりかけたゆで卵のようになっていて、卵のからが地殻っていうかたい岩石になっているところ、白身にあたるところがマントルといって、ゆっくり動いている岩石、黄身のところはコアといってドロドロに溶けた鉄があるらしい。地球は、ゆで卵のように割ってみるわけにはいかないから、科学者たちは地震の波を調べて、地球の中のようすを調べるんだ。卵のからにあたる地殻にも、弱いところと強いところがあって、下から押し上げる強い力にたえきれなくなって、こわれたり、われ目ができたり、上下にずれたりする。これを断層っていうんだけど、この断層ができるときに振動がおきて、この振動が地震なんだ。

ナマズというのは、他の魚にない特別な能力をもっているみたいで、地震のおこる前にナマズがさわぎだしたという話があちこちに伝わっている。地震のおきる前に、強い電磁波というのがあらわれるそうで、その電磁波に敏感なナマズは早く察知してあばれだすそうで、その感覚の鋭さは人間や他の魚の100万倍もあるという。でも、どんな地震でも予知するというわけではなくて、これからいろいろ研究していかなくてはいけないそうだよ。

こんな回答をしましたが、わかってくれたのか、ナマズの看板を見るたびに地震のことが話題になります。

「落ち葉する木と、落ち葉しない木があるのはどうして ?」  おもしろ科学質問箱 1

晩秋になると、落ち葉する木がたくさんあります。イチョウの黄色い葉、カエデやツタの赤い葉、ケヤキやブナなどのオレンジから茶色の葉、色とりどりの葉がとてもきれいです。でも、マツやモミ、スギやツバキなどは、一年中緑色のままです。
木の種類には大きく2つの種類にわかれていて、紅葉する木を「落葉樹」、紅葉しない木を「常緑樹」(一年中緑色の木)というふうに分類しています。

紅葉する前は、どの木も緑色をしています。緑といっても、うす緑も、濃い緑、黄緑とかいろいろですが、どれも緑色でした。どうして緑色なのかというと、植物には「葉緑素」というのがあるからです。この葉緑素という緑色の成分が葉っぱの2/3を占めていて、からだを作る大事な栄養や食べ物をつくりだしてくれます。太陽の光、空気の中にある二酸化炭素、根から吸い上げた水と、葉緑素がいっしょになって「光合成」ということをやってくれるおかげです。

ところが、秋が深まると太陽の光が弱くなり、気温が低いために根が水分を吸い上げにくくなって、栄養や食べ物が作り出しにくくなります。そのため葉緑素も分解されてなくなってしまいます。すると、葉緑素の緑にかくれていたほかの色素が姿をみせます。たとえば、イチョウはキサントフィルという色素のために黄色になり、カエデはアントシアニンという色素が表にあらわれるため、赤くみえるのだそうです。

そして、紅葉した葉はやがて落ちます。葉を落とすことによって、冬ごもりの準備をするのです。動物でも食べ物が得られにくくなる冬に、ヘビやカエル、リスやヤマメ、クマが穴を掘って冬眠するように、落葉樹も冬にそなえて冬眠するといってもよいのかもしれません。

いっぽう、常緑樹の葉がいつまでも落ちないわけではありません。1年を通じて葉が少しずつ落ちて、また新しい葉ができるため、一年中いつも緑色でいられるわけです。

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