児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

心の子育て論

「読み聞かせ」のすすめ 3

母親から子どもへの「読み聞かせ」──これにいちばん大切なことは、読み聞かせるときの母親の 「心」 です。母から子への読み聞かせには、心のふれあいに大きな意味があるのですから、その心が欠けた読み聞かせでは何にもなりません。

「お母さんは忙しいのよ、早く始めましょ」 「早くしないと読んであげないわよ」 では、だめです。初めから心がとぎれています。15分か20分を子どもといっしょに遊び楽しむ気持ちにならないと、心と心が通いあわないのです。

「さあ、お母さんと○○ちゃんの、一番楽しい時間のはじまり、はじまり~」 といいながら、まず自分が本を持ってきて、にこにこしながら座るといった、そんなあたたかさがあると、きっと成功するはずです。そしてこのときばかりは、お母さんの心が澄んでいないと、読み聞かせている作品に自ら感動することはできません。感動のない読み聞かせでは、子どもに感動を与えるはずはなく、せっかくの読み聞かせも形だけに終わってしまいます。

母親と子どもが共通の時間を楽しみ、おまけに1冊の本から得たあたたかさや、悲しみや、怒りや、喜びや、そして感動を分け合う──これがすばらしいのですから、口だけ動かしているような読み聞かせでは意味がありません。

「読み聞かせを続けようと思っても、子どもがついてこない」 というお母さん、お母さんの心に、まだ何かが足りないのではないでしょうか。

「読み聞かせ」のすすめ 2

家庭での 「読み聞かせ」 の大切さが説かれるようになった理由として、子どもの心を豊かにするほかに、もう一つすばらしいことがあります。それは、親と子の心のつながりを深めるということです。

テレビや、学校のテスト主義などによって、母親と子どものあいだに、少しずつ 「心のすきま」 ができてきました。そこで、読み聞かせにより、母と子が一つの世界を共有することで、心のすきまをうめていくことが願われたのです。

母と子が、たとえ10分でも20分でも、1冊の本、ひとつの物語のなかに心をとけあわせる。子どもにとっては、何にもまさる母親の暖かい声につつまれながら、充実した時間を共有する。これほどすてきなことは、他にあまりありません。

子どもは、時がたてば、読み聞かせてもらった本の内容は忘れてしまうかもしれません。でも、いっしょにページをめくった母親のぬくもり、自分のために読んでくれたやさしさ、ともに受けた感動は、いつになっても忘れることはないでしょう。

「読み聞かせ」 のすすめ 1

「読み聞かせ」 のすばらしさ、大切さが広く口にされるようになったのは、いまから40年近く前、昭和40年代後半のころからです。おとなが子どもに本を読む──ただ、これだけのことですが、では、なぜその頃から、その実践が全国にひろまったのでしょうか。

その理由は、生活の中にテレビとマンガがどんどん入っていって、子どもたちがそれにおぼれはじめていたからです。このままでは、みずみずしさをたたえていかなくてはならない子どもの心の泉が枯れてしまう、たくさんの子どもたちが人間にとってもっとも大切な 「自分の頭で自由に、創造的に考えることを忘れてしまう」。こんなことを心から心配した人々が、なんとかそれを食いとめてやらなければならない、それにはやはり読書がいい。でも、子どもたちに本を読め読めというだけでは、なかなか読まない。それなら、おとなが読み聞かせて、子どもたちに本のなかの豊かなものを伝えよう、本のなかの楽しさを味あわせよう。そして、本を読む人間を一人でも多く育てよう──と考えたわけです。

子どもたち一人ひとりが、ほんとうに子どもらしい子どもに、人間らしい人間に育っていってほしい。「読み聞かせ」 には、こんな願いがこめられています。

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 87

日本で「教育」というと、教室で黒板を前にした先生が、一段高い教壇に立ってさまざまなことがらを生徒に教え、生徒は先生から教わるという上下関係にあるようです。幼児への家庭教育も同じで、多くの母親は、先生役になって子どもにしつけをする──教える母親、教わる子どもという上下関係にあると思っています。そのためか、知らず知らずのうちに独善的になり、子どもに対して圧制者のようになってしまっている母親をよくみかけます。

いっぽう、イギリスなどヨーロッパの人たちは「教育」のことを、子どもの本来持っている能力を「引き出す」ことだと考えています。英語の「教育」education の語源が、ラテン語の educatio (引き出す) ということだからなのでしょう。そのため、先生と生徒は並列関係にあります。

古代ギリシアの哲学者ソクラテスは、アテネの街角に立ち、若者にさまざまな質問を投げかけ、若者の信じる考えを正しいものと仮定しながらさらに質問を続け、自分の説の間違いを若者自身に気づかせる教育法をあみだしました。これは「産婆術」ともいわれ、まさに「引き出す」という教育の原点になっているのです。

イタリアの幼児教育者、実践者として有名なモンテッソーリ女史の「子どもは、私たちの先生です」と、幼児からいつも学ぼうとする姿勢が教育理論の根底にあるのも、まさにこのことを意味しているのにちがいありません。

子どもの言葉や行動、心や感情の動きをしっかり把握して、よいところを引き出し伸ばしていく──母子関係を、これまで考えられてきた上下関係から、ほんらいの並列関係に立場を変えて、わが子から学ぼう、よいところを引き出してみようと、肩の力をぬいて、日々子どもと接していきたいものです。

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 86

道で会えば、いつもにっこり笑うようにして「こんにちは」とあいさつする女の子。ある日、その子の母親が、近所のおばあさんと雑談しているのが聞こえてきました。

「お宅のお嬢さん、とってもよくしつけができていますね。いつも感心してるんですよ。秘訣があったら教えてくれません?」

「秘訣なんて、わかりません。ただ、一つだけ守るようにしてることがあります。それは、子どもを必ず一日に3回はほめるようにしてることです。どんな小さなことでも、がんばったわね、よくできたわね、もうそんなことができるの…とか。それも、できるだけ、わーっ、よくやったね。お母さんもうれしいわ、握手しよう、なんて多少オーバー気味にいったりします。昼間、つい、ほめるのを忘れていたときは、夜、まとめて3つ以上ほめるんです。これで、子どもは安らかに眠りについてくれます。もちろん、叱るときは、厳しく叱ります。でも、叱られてふくれるようなことはなくなりました。いつもほめられているから、叱られることも抵抗なく受け入れてくれるのじゃないかしら。ほめる回数がふえれば、叱る回数が少なくなってきてるみたい。ガミガミいわないですめば、親としても気持ちがいいですからね」

この母親は、しつけのことがわからないどころか、一番大切なことがわかっているようです。

「9月3日にあった主なできごと」

1189年 当時奥州・平泉に藤原氏という豪族がいて、清衡、基衡、秀衡が3代100年にわたり強い勢力をほこっていました。源義経が兄頼朝におわれた時に、かくまったのが秀衡です。秀衡は、1187年義経を守るよう遺言して死にましたが、その子泰衡は遺言にそむいて義経を殺しました。しかし、この日頼朝の軍に泰衡は破れ、藤原氏は滅びました。国宝に指定されている中尊寺・金色堂は清衡、基衡、秀衡3代の墓所で、それぞれのミイラが残されています。江戸時代の俳人松尾芭蕉の「夏草や 兵(つわもの)どもの 夢のあと」という有名な句は、平泉周辺を旅したときに創りました。

1858年 6月に日米通商条約に調印した江戸幕府は、オランダ、ロシア、イギリスについで、この日フランスとも通商条約を結びました。

1977年 巨人軍の王貞治(現ソフトバンク監督)が、通産756本のホームランを打ってアメリカ大リーグのハンク・アーロンの755号の記録を破り世界最高記録(大リーグでは参考記録)を更新、2日後に初の国民栄誉賞を受賞しました。なお、現役引退までの王の通算本塁打数は868本。

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