児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

心の子育て論

「読み聞かせ」 のすすめ 8

6年生の長男に、10年以上も本を読んでやってきた結果、児童文学のファンになったのは私だけ。子どもはマンガばかりに夢中で、本はほとんど読みません。それでもいつかはと、期待して読み聞かせをしてきたのですが、その期待も実らないまま、親離れしていく時期になったのです。寝る前の読み聞かせは、子どもにとって、それが眠り薬のようなものだとしても、親子の安らぎの時でした。それで充分じゃないかと言い聞かせているのですが……。

これは、ある新聞に投稿されていた主婦の声ですが、この一文からいろいろなことを考えさせられます。まず、子どもが自分で本を読むようにならなかったからといって、それほど嘆く必要はないということです。長い間の読み聞かせで、子どもの内面には、少なくとも文学的な読み物を受け入れる素地は育っているはずです。今後なにか刺激さえあれば、必ず自分で本を手にするようになります。

もしも、その素地さえ育たなかったのだとすれば、読み聞かせた本の質に問題があったのかも知れません。親の選んだ児童文学作品と子どもがほんとうに喜ぶ作品には、必ず差があるからです。

それから、マンガばかりに夢中でとありますが、あまりマンガをばかにするのもよくありません。最近のマンガには、かなりレベルの高い作品も多く、歴史もののマンガなどには、文字で記述されている以上によく検証したものもあって、感心することさえあります。育てられた読書の素地のおかげで、新しい楽しみを発見したのかもしれません。

いずれにせよ、10年以上も続けられた「親子の安らぎの時」、素晴らしいではありませんか。母親のぬくみを充分注ぐことができたのですから。子どもは生涯それを忘れることはないでしょう。

「読み聞かせ」のすすめ 7

読み聞かせは、子どもが小学校の中学年になっても高学年になっても続けてよいものか、いつまでも読み聞かせをしていると、自分で読むことをしなくなるのでは? こんな疑問を持つ人がよくおられます。

たしかに「読み聞かせ」は、まだ文字が読めない幼児期を対象に、本を通じて子どもの心を豊かにし、幼いうちに読書への興味を育てるというのが主なねらいです。

でも、子どもが自分で本を読めるようになったら、もうおかしいというものではありません。子どもが2年生、3年生になったら「おもしろそうな本を自分でもさがしてごらん」とすすめるのはよいことですが、「もう文字が読めるようになったのだから、これからは自分で読みなさい」と急に突き放すようにするのは好ましいことではありません。字が読めるのと、本の内容を理解するのとは大きな違いがあるからです。

子どもが自分から「もう自分で読む」といいだしたときは、「そう、それはいいわね」とほめながら、一方で「お母さんと読むのも少しは続けようよ」とか「読み終えたらお母さんにも読ませて」と要求するのもよいでしょう。家庭での親子読書へ発展していけばすてきなことですし、読書の楽しさを知れば、自分で本を読まなくなるという心配は無用です。

「読み聞かせ」のすすめ 6

親と子が心を解け合わせていっしょの時間を過ごす「読み聞かせ」は、とても楽しいものです。ところが、親のちょっとした語りかけが、その楽しさを壊してしまうことを知っておかなくてはなりません。

それは、読み聞かせが終わったあとの「どんなところがおもしろかった?」「どんなことを感じた?」という問いつめです。これだけならまだしも、この問いに対して返ってきた子どもの感想が親の期待から外れていたときの「そんなことしか理解できなかったの」「何を聞いていたの」。ここまで追いつめたら、せっかくの時間もだいなし。形式的な感想など、どうでもよいことです。大切なのは、読み聞かせが終わったあとまで子どもの心に残る「楽しかったことの余韻」にあるといってよいでしょう。

添い寝をしてもらいながら母親の話を聞いているうちに、いつのまにか眠ってしまう子ども──これもまったく同じです。その余韻が親と子のつながりを深め、本が好きではない子どもでも、本を読み聞かせてもらうひとときの楽しさを通して、本が好きになっていくのです。

同じ1冊の本を読んでも感想は一人ひとり異なり、その一人ひとり異なる感想をこそ大切にしなければならないことを忘れてはなりません。

「読み聞かせ」のすすめ 5

母から子への読み聞かせ──心さえこもっていれば、じょうず、へたを気にすることはありません。10回も続けるうちに、その人なりの、その人らしい読み聞かせの型ができてくるものです。

でも、ひとつだけ大切にしたいことがあります。それは間(ま)です。正確にゆっくり読み進めながら、じゅうぶんに間をとっていくことです。ひとつの文がマルで終わったあとの間、それは話に聞き入る子どもの心を落ち着かせます。物語が事件に入るときの間、話が山場にさしかかったときの間、それは、次はどうなるのだろうという話の展開に期待する子どもの心の高まりを、さらに高めます。

つまり、間は、子どもの集中力を高め、子どもを物語の中へより深く引きこむのに欠かせません。

話の中の「すると…」「ところが・・・」などのところでは、わざと5秒くらいの間をおいて、子どもの目をじっとみつめます。この時の母親と子どもの心の通いあいの深さ、確かさ…、それはまちがいなく一つになっています。

また、この間は、読み手にとってもたいせつです。間をとることによって心を落ち着かせ、間をとってるあいだに、子どもの反応、子どもの心の高まりを確かめ、味わい深く読み進めることができるからです。

「読み聞かせ」 のすすめ 4

読み聞かせる本──読み聞かせが成功するかどうか、それは本の選び方にかかっているといってもよいでしょう。

まず第1は、おとなの目で選ぶのではなく、聞き手の子どもを大切にしたいものです。せっかく高い本を買ってきて読み聞かせるのだから、少しでも内容の濃い、少しでも多く子どもが学びとってくれるものをなんて考えて選んだ本は、きまって、子どもはおもしろくないと思ってしまうもの、読み聞かせをはじめたばかりの子どもには、とくにそうです。

ふだんの生活の中で、いつもそっと子どもを見つめ、語りあい、今この子の心のなかでどんなことを求めているのか、どんなことに心をふるわせるかを思いやり、それにあわせて選ぶことができれば理想的です。

わが子が 「のらねこ、かわいそうね」 といったのを思い出して、『ちいさいねこ』 『11ぴきのねこ』 を読み聞かせ、子どもをいっぺんに絵本好きにしたという話や、電車のおもちゃに夢中になっている子に、『きかんしゃやえもん』 を読み聞かせて大成功したという例もあります。

子どもを育てることはすべてそうですが、本の読み聞かせも、わが子の心にあたたかく寄りそうことが大切ですね。

↑このページのトップヘ