児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

心の子育て論

 だれにもできる逆説的しつけ法「ダメな子の育てかた(●印))」と、努力を伴う期待型しつけ法「良い子の育てかた(○印)」を考える連載「ダメな子・良い子の育てかた」第9回目。

● 兄弟愛の乏しい子にしたかったら

子どもへの接しかたに差をつけることです。たとえば同じことをさせたとき、一人にはほめ、もうひとりにはけなします。他人の前で「上の子はちゃんとしてるのに、この子はダメなんですよ」などと言ってあげましょう。兄弟ゲンカをして、ひとりが泣いてきたときは、けんかの原因を問いただすことはやめ、泣いてきた子だけをかばって、なぐさめます。いつも、どちらかの子のほうが悪いことにします。町へ出るとき、他の家をたずねるとき、自分の気に入った子だけを連れて行きましょう。子どもは、兄弟のあいだに、しぜんに溝を感じてくれるようになってくれます。また、子ども同士がにくみあうようにも、差別を受けた側の子は、親をにくむようになってくれます。

○ 子どもに物を大切にさせたいなら

4、5歳にもなったら、自分のものと他人のものとを、区別する習慣をつけてやることが大切でしょう。兄弟みんなのものということにして、みんなで使うというのはほほえましいことです。しかし、これには、その物に対してだれも責任を持たなくてすむという問題点があります。したがって、扱い方も荒くなり、物を大切にしないということにもつながっていきます。そこで、できれば「これはだれのもの」と決めてやることが望ましいでしょう。そして、誰かが使うときは「○○ちゃん貸してね」と言わせます。実際には、それが兄弟共有のものであっても、だれか一人の所有物にしてやること、それも年上の子にかぎることなく、年下の子にも所有権を与えてやります。そうすれば自然に、自分のものと人のものを区別するようにも、人のものを無断で使わないようにも、使ったあとは責任をもって片づけるようにもなってくれます。

これまで7回にわたり、「ダメな子」「良い子」の育て方を併記して綴ってきましたが、先日、ある知り合いから「○印の良い子の方はいいけど、●印の悪い子の方は、読んでいて気分がよくないからやめた方がいい」というアドバイスをもらいました。そこで、毎日読んでくれている他の人にも意見を聞いてみることにしました。「面白く読んでるよ。良い子ばかりじゃ、当たり前のしつけ論になってそれこそ面白くない」「はじめて読んだ人はとまどうかもしれないから、併記しているねらいを簡潔にコメントしたら」など、さまざまでした。
こういう逆説的なしつけ論は、ドイツのザルツマンの著書をもとに1955年に村井実という方が「かにの本」(子どものしつけ) として牧書店という出版社から刊行したものが有名です。教育界に大きな反響をよびましたが、その後絶版。後に「かにの本・子どもを悪くする手引き」として、あすなろ書房から復刻しているようです。この連載は、この本をヒントに「月刊日本読書クラブ」に掲載したものを、加筆、訂正したものです。
必ずしも、否定的な意見ばかりではないようなので、もうしばらくこのままの形で連載をつづけてみようと思います。

「ダメな子」「良い子」の育てかた 8

● 親を信用しない子に育てたいなら

こんど連れて行ってあげる、こんど買ってあげる、などと約束したことを平気で破ることです。子どもに何か問われたとき、いつもいいかげんに答えます。ときどき、からかい半分、おもしろ半分に、子どもをだましてみせます。子どもの前で、父親と母親で無責任な会話をしてみせます。妻が夫をだましたり信用しない姿、夫が妻をだましたり妻を信用しない姿を、子どもに見せてあげます。子どもは「うちの親のいうことなんか、当てになるものか」と思うようになり、人にうそをついても、痛みを感じないような子にもなってくれます。また、本気で親に相談しない子にもなってくれます。

○ 道草をして帰ってくる子

子どもが学校からの帰り道や、お使いの帰り道に、道草をしてくることがあります。すると、ほとんどの子の親は叱ります。帰りが遅いことへの心配のあまりなのでしょうが、頭ごなしに叱るのはどうしたものでしょう。常習的、無軌道的な道草なら問題はあるとしても、時折の道草なら、小さな冒険を楽しんだものが少なくないからです。子どもは決められた行動のなかでよりも自由な行動のなかでのほうが、創造性をふくらませるものです。時間を気にしながらも、追ってきた野良ネコと戯れ、そのネコへの愛情を心に残して帰ってきたとしたらどうでしょう。道草によって、なにかを得たはずです。

「ダメな子」「良い子」の育てかた 7

● 無駄遣いの習慣をつけさせたいなら

わが子が小づかいを欲しがるたびに、いくらでもお金をあげることです。小づかいの額をきめてしまってはいけません。それから、子どもが小づかいを何に使おうと、けっして問いただしてはいけません。子どもはますます多くの小づかいをせびるようになります。やがて、それでも不足すれば、人から借金をすることを覚えてくれます。さらには、盗みをすることも覚えてくれます。ムダづかいをさせることは、子どもを非行に走らせる最短の道です。

○ いつも自分に自信のない子

いつも自信なさそうにしている子を見たとき、多くの親は、失望の悲しみをふくめて、その子をいましめ、無気力さを叱ります。しかし、これは逆療法です。自信のない子には、むしろ「お前は、頭がいいんだ」「やればできるんだ」と思わせることが大切です。また、自信のなさから生じる失敗が多くても、それから逃げさせてはいけません。自分の力で立ち向かわせなければいけないのです。そのためには、子ども自身が意識していないようなことでも、ほめてやること。子どもの失敗を知ったときでも、ただとがめるのではなく、まず、よくやった点を見つけだしてほめてやり、その上で失敗の原因に気づかせてあげたいものです。家族そろっての食事のときなどに、母親が父親に「きょう、この子、こんなすばらしいことをしたんですよ」と言ってやったらどうでしょう。子どもは、半ば照れながらも心の中に、うれしさと自信を湧き立たせるはずです。

「ダメな子」「良い子」の育てかた 6

● 子どもを偏食っ子にしたいなら

いつも子どもに「今日は、なにが食べたい」と聞いてから、愛情こまやかに料理を作ってあげましょう。子どもが食べ残したら「いいわよ、お母さんが食べてあげるから」と言ってあげることです。いつも「はい、これがあなたのよ」と、愛する子どもにだけは、特別料理を作ってあげましょう。子どもは偏食っ子になるだけでなく、わがままな子にも行儀の悪い子にもなってくれます。

○ おもちゃをたくさん欲しがる子

子どもにとっておもちゃは、遊びを豊かにするために、あるいは創造力を育てるために必要なものでしょう。しかし、与えすぎは、害あって益なしです。高価なものをたくさん与えて、わが子をかわいがっているつもりの母親がいたら、それは間違いです。おもちゃの与えすぎは、子どもを移り気な、気の散りやすい性格にしてしまいます。心理学者の研究でも「散漫な性格にする」という結論が出ています。
子どもは、たったひとつのおもちゃでも、よく考えられたおもちゃなら、いろいろ工夫して遊ぶものです。また、空き缶や木切れでも、楽しく遊ぶこともあります。むしろ、完成されていないおもちゃの方が、子どもの創造力をかきたてるということを知っておかなくてはいけません。欲しがるものを何でも与えることは、子どもを不幸にするということも、充分認識しておかなければなりません。今は、実に多岐にわたるおもちゃにあふれています。わが子にはどんなおもちゃがふさわしいかを良く考え、できたら誕生日やこどもの日、クリスマスなど特別な日に、選び抜いたおもちゃをプレゼントしたいものです。

「ダメな子」「良い子」の育てかた 5

● 人を差別することを教えたいのなら

わが子が、貧しい家庭の子や家庭的にめぐまれない子と親しくするのを見たら「あんな子と、おつきあいするのはやめなさい。お父さんは運転手なんでしょ。あなたは、あんな家の子と違うのよ」と言ってあげることです。わが子が体を真っ黒にして働く人たちの姿をテレビで見ていたら、「しっかり勉強しないと、あなたも、あの人たちのようになってしまうわよ。あの人たちは、人間らしい生活なんてしていないの。ああなったらおしまいね」と言いましょう。町を歩いていて、みすぼらしい住宅地を通ったら、「いやぁねぇ、なんてきたないんでしょ。こんなところへ来て遊んだりしたらダメ」と言います。子どもは、生活や身なりの貧しい人を、心のどこかで蔑視し、バカにする子になってくれます。

○ 要領を得ない話をする子や、話のノロマな子に

親に何かを話すとき、要領を得ない話し方をする子がいます。また、そんな時期があります。しかし、そんな時「あなたの言うことは、こういうことなんでしょ」と、先まわりして、子どもの言いたいことを整理してやってはいけません。たとえ、まだるっこくとも、子どもの話し終わることを、待ってやることが大事です。子どもはこんな時こそ、自分の表現能力を育てているのですから。
まだるっこいからといって、話をせかせるのもよくありません。子どもがつっかえながら話をしているときは、いっしょうけんめい言葉を探しているのです。いっしょうけんめい頭を働かせているのです。話を先どりしてせかしたりすることを繰り返していると、親には話をしたがらない子を育てることになってしまいます。そして、豊かな表現力の芽をつんでしまいます。よく、「ウチの子は作文がダメなのよ」と嘆く母親の声を聞くことがよくありますが、こんなふうに表現力の芽を摘んでいなかったかを反省しなくてはいけません。

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