児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

心の子育て論

「読み聞かせ」のすすめ 18

子どもへの「読み聞かせ」のさい、できれば実行してほしいことがあります。それは、家で読み聞かせるような場合でも、読み聞かせる本を、事前に読んでおくというものです。

そうすれば、その本の内容、展開、主題、山場(やまば)がどこかがわかります。そのため、間のとりかた、声の強弱、話の進め方の速さなどを考えながら読み聞かせることによって、子どもをより深く、引きつけることができるでしょう。

物語の山場や、子どもが最も大きく反応すると思われるところでは、子どもの目をみつめながら、間があきすぎるくらい間をおいて、ゆっくり読み進めてみてください。そうすることで、「この次はどうなるのだろう」という子どもの心を強くひきつけながら、より深く、子どもに訴えていくことが可能になります。「この後どうなる」という思いが強ければ強いほど、この後の展開が、子どもの心に深く響くことはまちがいありません。

読み手自身が、はじめて手にする本を読む場合、どうしても、どこも同じ調子で読んでしまいがち。「せっかく読み聞かせるのだから、一度読んでおこう」──これも大切な愛情なのではないでしょうか。

「読み聞かせ」のすすめ 17

30歳のお母さんが、こんなおもしろい「読み聞かせ」の話をしてくれました。

わが子が2歳になったころから、子どもに自由に絵を描かせることをはじめたました。そして、子どもが描きあげた1枚の絵を見せながら、「これは、ぼくが○○してるところだよ」などといいはじめるようになると、話の続きの絵を2、3枚描かせました。そして、それが絵本づくりのきっかけになlりました。やがてお母さんもいっしょになってこしらえる「お母さんと子どもの手造り絵本」が何冊かできあがり、その絵本を子どもに読み聞かせる。さらに、市販の絵本をも加えた「読み聞かせ」へと定着していったといいます。

「小さな子どもはだれでも、白い紙に、自由にのびのびと絵を描くのが大好き。そして、自分の描いた絵を指さしながら、これはね……などとおしゃべりするのも大好き。だから、子どもに絵本を広げて見せれば、どんな子でも絵本が好きにならないはずはありません。よく、うちの子は本が好きじゃないのと、困った顔をされるお母さんがおられますが、子どもと絵本の出会わせかた、結びつけかたに問題があったのだと思います」

このお母さんの 「本ぎらいにさせるのは、お母さんの努力が足りないのです」 と強調するのが、とても印象的でした。

「読み聞かせ」のすすめ 16

知人から、おもしろい「読み聞かせ」の話を聞きました。

砂場・スベリ台・木馬などがある団地内の遊び場は、午後3時ごろになると、幼児と母親でいっぱいになります。子どもたちを見守りながら、母親たちは井戸端会議ならぬ「砂場端会議」です。

「あんなふうにして過ごしてしまうのは、もったいない」と感じたのでしょう。ひとりのお母さんが、砂場へ絵本を2冊持って行き、子どもをしばらく砂場で遊ばせた後で「ねぇ、みんな、おもしろい絵本を読んであげようか」と、子どもたちに声をかけました。すると、5、6人の幼児たちが「わぁ、読んで、読んで」と集まってきました。「本なんか見向きもしない」と思っていたのに、うれしい誤算だったようです。

こうして、1回15分ずつくらいの「砂場読み聞かせ」が始まりました。喜んだのは子どもたちだけではありません。「うちの子が絵本をあんなに喜ぶとは思わなかった」と、大いに喜んだのは、むしろ若いお母さんたちでした。

やがて、この読み聞かせは、外の強い日差しなどをさけるために、アパートの上がり口の石段に場所を移しました。階段に、ひな壇みたいに子どもを腰かけさせ、お母さんは一番下から読み聞かせるのです。週に平均2回ずつ始めて、もう半年。今では7人のお母さんの楽しみにもなっています──と。

読み聞かせは、本と時間があれば、どこでもできるのです。要は、親の心構えです。

「読み聞かせ」のすすめ 15

これは、ある3歳児の母親の話です。

私は、子どもが3歳になったときから、絵本の読み聞かせを始めました。毎日なんて気負ってもできそうにありませんでしたから、1週間に1回です。1か月に4冊だとすれば1年間に50冊、この子が小学校にあがるまでには200冊くらい読み聞かせてあげることができると考えたのです。

読み聞かせる本は、図書館から借りることにしました。中小企業に勤める夫の収入では、とても2~3千円の絵本代をひねりだすのはむずかしいと思ったからです。ところが、読み聞かせを始めて4か月たったころから、月に2冊ずつくらいは、書店で買い求めるようになりました。それも、すでに一度は読み聞かせた絵本を……。

10冊くらい読み聞かせたころから、子どもが「あの本、もういっぺん読んで」というようになり、その本を再び借りてきて読み聞かせるうちに「すばらしい本は子どもに何度でも感銘を与えるものだ。それなら、そんな本はいつも子どものそばにあるようにしてやろう」と考えるようになったのです。

こうして、居間にある、夫の手づくり書架の中には、「おおきなかぶ」「ぐりとぐら」「ねずみくんのチョッキ」「からすのパンやさん」「かさじぞう」「かたあしだちょうのエルフ」など、およそ40冊の絵本が並んでいます。

──思い出のいっぱいつまった書架は、きっと家族の宝物となることでしょう。

「読み聞かせ」のすすめ 14

ある小学校の先生が、次のような話をしてくれました。

担任のクラスの子どもは3年生38人、このうち、自分からすすんで童話や物語の本を読む子は、半数に満たない17人。残り21人は、学校での「読書の時間」には本を読んでも、ふだん、自分から読むことはほとんどしない。ひと言でいえば、本を読む子よりも読まない子のほうが多く、この傾向は、年ごとに進む。

そこである日、読書についての実態を調べるついでに、38人に手をあげさせて、小学校へあがる前に、親から本の読み聞かせをしてもらった子がどれくらいいるかを調べてみた。すると、一つのことがはっきりした。本を読む17人のうち、読み聞かせの経験をもつ子が8人。本を読まない21人のうち、読み聞かせの経験をもつ子は1人。つまり、就学前に、親から読み聞かせをしてもらった子どもは、そのほとんどが「自分から本を読む」ようになっているということ。

3年生、4年生になって、本のきらいな子を本好きにするのは、とても大変だ。教師が努力をしても、本嫌いの10人のうち1人か2人しか本好きにすることはできない。だから、幼児期の「母親の読み聞かせ」をもっと盛んにやってほしい。本を読む子と読まない子は、教科の点数には差はなくても、「心のあり方」には、思いがけないほどの差がでてくる──。

幼児期の「読み聞かせ」には、それほどの価値と意味があるのです。

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