児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

心の子育て論

「読み聞かせ」のすすめ 23

昨年度、小学校1年の担任をされた先生のお話です。

「1年生にあがったばかりの子どもは、はじめの頃は、どの子も教師の話に耳を傾けます。ところが、学校の生活に慣れてくると、少しずつ、教師の話など聞かずに、勝手にふるまう子どもが増えてきます。今回もそうでした。

ところが、そんな中で、一人だけ違う子がいました。授業中はもちろん、授業以外のときでも、私のいうこと話すことに、一生懸命耳を傾けて、その上、何か疑問があれば素直にそれを言い、また発言したいときは、素直に口にするのです。

私は、はじめは感心ばかりしていました。ところがある日、その子に聞いてわけがわかりました。その子は3歳の頃から、もう4年近くも、家でお母さんから本の読み聞かせをしてもらっていたのです。つまり、読み聞かせを通して、まず第1に静かに話を聞くことを身につけ、さらに耳にした話を主体的に考え、心に思ったことがあれば素直に口にする習慣のようなものまで、しっかり身につけたのですね」 と。

本の読み聞かせには、こんな効果もあるのです。来週から新学期がはじまります。「読み聞かせ」 の習慣化を、改めておすすめします。

「読み聞かせ」のすすめ 22

二人の子どもをもつ主婦の話です。

「小学校へあがる前に、少しでも心を豊かに──と考えて、4歳半になる長男への読み聞かせを始めました。でも、どんな本を選んだらよいかわからないので、自転車で10分くらいのところにある市の図書館の分館へ行きました。司書の方の助けを借りながら、館外貸し出しの本を10冊ほど借り出し、それを家へ持ち帰って、1冊ずつ読み聞かせることにしました。

ところが、これを2、3回くりかえしているうちに、思わぬ発見をしました。読み聞かせをしようとした長男より、その下の2歳になったばかりの女の子のほうが絵本に興味を示しだしたのです。長男へ読み聞かせていると、私の膝の上へやってきて、耳を傾け、読み終わると、長男はすぐ他のものへ興味を向けるのに、女の子はもう一度読んで、もう一度……といいます。

こうして半年ほどたった今は、長男よりも2歳の女の子のほうが主役になってしまいました。今になって悔やまれるのは、長男への読み聞かせを、やはり2歳くらいから始めればよかったということです」

この主婦の話はまったくその通りで、絵本の読み聞かせを、2歳以前、1歳や1歳未満から実践して、成功されている方をたくさん知っています。たとえ言葉はわからなくても、絵本の絵を楽しませながら、ゆっくりゆっくりくりかえしていくと、幼児の心が豊かに広がっていくことは間違いありません。

イギリスの名門児童出版社レディバード社で刊行するシリーズ「レディバード図書館」(日本語訳・いずみ書房刊) の別巻1「お母さんとお父さんの育児しつけ教室(2歳まで)」によりますと、絵本に親しませたいのは12か月ころとして、次のような記述がされています。

「本を見せるのは、5、6か月からはじめたいものです。早いと思われるかもしれませんが、けっして早すぎることはありません。ぴったり合った絵本なら、声をあげ、手をたたいて喜びを表現することもあります。普段から絵本に親しませている赤ちゃんですと、12か月の頃になると、手にとってめくろうとすることでしょう。人物、動物、おもちゃなど、はっきりと単純に描いた絵本が理想的です。また、初めて出合う絵本は、大きすぎたり重すぎたりするものは感心しません。赤ちゃんには、赤ちゃんの身体に合ったサイズの洋服をそろえるのと同じように、赤ちゃんの手の大きさ、握力、視野などを考慮して本を選ぶことをおすすめします。赤ちゃんは、お母さんの読んでくれる物語の主役になり、鳥になって大空を舞うこともあれば、いたずらねこに変身することもあります。実際に体験できない未知の世界を、絵本を通して体験するのです・・・・・・」と。

赤ちゃんが、絵本の中にたくさんの友だちを持ち、心がのびのびとふくらんでいく──なんともワクワクする話ではないでしょうか。

なお、「レディバード図書館」の内容につきましては、ブログ を参照ください。 

「読み聞かせ」のすすめ 21

ある書店でのことです。子どもの本の棚の前に、ひと組の母子がいました。子どもは3、4歳の女の子、母親は30歳くらいです。その母子を観察していると、おもしろいことがわかってきました。

子どもが、棚の前に平積みしてある絵本をひとつ一つ見ていきます。ある本は表紙を見ただけで手を離し、ある本はページをめくってじっと見ていきます。母親は子どもの後ろに立って、その子が本を少し乱暴に置いたときだけ「あら、きちんと置きましょ」という時以外、「早くしなさい」「それより、こっちの方が」などと余計な口をはさみません。およそ、15分、思わず、その母親に声をかけてみると、こんなことを語ってくれました。

「平均すると、ひと月に4、5回子どもを書店に連れてきます。その日は子どもが主役で、他の買物はしません。本は子どもに選ばせます。子どもはまだ字が読めないから、本の内容がわかるはずはありませんが、絵を見ながら物語の中身を想像するのでしょう。どんなに長くても、20分くらいで結論をだします。こうして買いたい本が決まれば、子どもにお金を渡し、自分で支払いをさせます。こうして、その本どんなお話かなぁ、などと語りあいながら家へもどり、すぐ読み聞かせに入ります。すると、その本のことで頭がいっぱいになっている子どもは、息を殺すように聞いてくれます」

とても印象的な話がうかがえました。こういうやりかたも、時には実践したいものです。

「読み聞かせ」のすすめ 20

ある新聞の投稿欄に、35歳の主婦という方の一文が掲載されていました。

            ◆

わたしが二人の子どもをもっていちばん良かったと思うのは、絵本をいっしょに読んできたこと。上の子どもが2歳になったころから毎晩1冊ずつ読みはじめて、今は毎晩3冊ずつ。図書館へいって本をたくさん借りてきた日は、夜、子どもを寝かしつけるのが楽しみ。はじめのうちは1冊読むとのどか痛かったが、今は何冊読んでも平気。

絵本は、怒っていては絶対読めない。体の具合が少し悪いときでも、心配事があるときでも、本だけは明るい声で読むように心がける。

これまでの6年間に何冊読んだか、覚えていない。何回も読んだのに、忘れてしまった話もある。しかし、母子3人で、一緒に感動した思い出だけは山のようにある。あと何年、一緒に読めるかわからないが、疲れて少しいやな時も、この読み聞かせを絶対続けていこうと思う。

            ◆

以上のような内容でしたが、「母子3人で一緒に感動した思い出は山ほどある」というのは、なんと素晴らしいことでしょうか。そして、この「感動」を求めて、からだの調子が悪い時でも、心配事があるときでも、一所懸命読み聞かせをつづけようとされる、このお母さんの姿こそ、感動的に思えてしかたがありません。

「読み聞かせ」のすすめ 19

ボランティアで「読み聞かせのすすめ」を実践している方のお話です。

ある日、散歩の途中、10歳くらいの少女を連れた母親にあいさつされました。はじめは、その母親のことを思い出せなかったのですが、「7年ほど前、この子が4歳のとき、絵本の読み聞かせをすすめられて・・・」といわれて、この母親に読み聞かせをすすめ、その後何回か「うちの子は同じ本を何度も何度も読んでくれという」「読み聞かせの本は図書館で借りてきているが、何度も読んでくれという本だけは、後で買ってやるようにしている」などの連絡をもらったことを思いだしました。

あのとき、4歳だった小さな女の子が、もう小学4年生になっていたのです。私が「何度も読んでもらうほど気に入って買ってもらった本は、何冊くらいになったの?」と尋ねると、その少女ははっきりと答えてくれました。

「3年生くらいまでお母さんに読んでもらって、そのあいだに買ってもらった本は60冊ほど。読んでもらった本は500冊以上ですから、買ってもらったのは8冊に1冊くらいなのかな。今は、私の一番の宝物です。そして今も、他の新しい本を読むあいだに、ときどき引っぱりだして読んでます。読まなくても、本棚に並べた本のストーリーを思い出して、そのときは楽しくて時間を忘れそう。ときには、お母さんに甘えてもう一度読んでもらうこともあります。お母さんもときどき一人で読んでるみたいです」──と。

こんな話を聞くと、なんとなく心が暖まりますね。ひとりでも多くの子どもが、このように育ってほしいと願わずにはおれません。

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