児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

レディバード図書館


1985年に刊行した「レディバード図書館」のタイトル、および、監修者ウィングフィールド夫妻のそれぞれのジャンルに対するコメントを掲げてみよう。



● 生活絵本 3点



(1)ぼくと わたしの いちにち

(2)こいぬと こねこ

(3)のりもの えほん
レディバード生活絵本


(コメント) 幼児の日常生活の中で、特に身近なものをテーマにした絵本たち。ひとつひとつの絵がシンプルで、やさしく語りかけるように、また話したくなるように工夫をこらしています。幼児に与える絵本で大切なことは、何といっても絵の輪郭がはっきりしていることです。



● 知識の絵本 6点



(4)かずの えほん

(5)いろの えほん

(6)じかんの えほん

(7)かたちの えほん

(8)おおきさくらべ

(9)ABCの えほん
レディバード知識絵本


(コメント) 子どもの学習に適した時期というのは、年齢ではなく子どもが関心を持ち新鮮に感じたそのときです。親がほんの少し、関心を促すだけで、子どもは興味を示し、ぐんぐん覚えていきます。その興味をいだかせ、疑問に応える手助けとなるのが、以上の6冊です。それぞれが、子どもの読書というより、知りたがりの心を理解にむすびつけるための工夫をしています。



● 文字遊びの絵本 6点



(10)どうぶつえんの えほん

(11)こいぬの もじえほん

(12)こねこの もじえほん

(13)ろばの もじえほん

(14)こひつじの もじえほん

(15)こがもの もじえほん
レディバード文字遊び絵本


(コメント) 物語絵本、観察絵本などストーリー性のある読書に導くための、子どもが最初に出会う絵本です。子どもが初めて手にする絵本は、その後に出会うさまざまな本の中で最も大事な意味を持っています。なぜなら、その本が幼児に喜びを与え、満足させるものであったら、読書への興味の基盤が築かれることになるからです。



レディバード図書館」の監修者であるウィングフィールド夫妻は、監修に当たって、「家庭でおこなう幼児教育」と題し、次のような文をよせてくれた。

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大脳生理学や発達心理学の最近の研究成果によると、人間形成の基礎は、小学校へあがるまでの幼児期に家庭でどのような育児、しつけを受けてきたかによって決定されるということが、立証されています。

お母さんお父さんが家庭で行なう教育が、子どもへの教育の出発点にあります。正常な赤ちゃんは、生まれたときから、冒険心と探求心を備えており、心も身体もめざましく成長する幼児期の子どもの生活は、目覚めている限り、たえず何かを求めて活動するといっても過言ではありません。身のまわりの見るもの、聞くもの、触るもの、五感に感じるあらゆるものが新鮮であり、見たり聞いたり触ったり、具体的な行動で、身近な世界を確認し認識していくのです。

安定した幸せな家庭があれば、人間形成の基礎づくりは、自然にできあがっていくものだとお考えの方も多いようですが、必ずしもそうではありません。子どもの行動範囲が制限されていたり、回りをあまりに大人の基準に添って整理整頓してしまうと、かけがえのない冒険心や探求心の芽までも摘んでしまい、2歳にして、すでに無気力な子どもにしてしまうということにもなりかねません。

お母さんお父さんは、毎日意識的に、今までよりもたくさんの刺激と興味を子どもに与えるようにしましょう。人間の一生を通じて、もっとも成長が著しいのは、誕生から2歳まで、それに続いて3歳から6歳までです。私たちは、この時期の子どもの成長を促すこともできるし、同時に遅らせてしまう可能性もあるのです。

家には、たくさんのおもちゃがあると思いますが、果してそのおもちゃは、子どもの成長に役立っているでしょうか。子どもがしゃぶったり、なめたりしそうな有害な塗料をおとしてあれば、普通の家庭用品でも、絶好の遊び道具になるものがたくさんあります。ガラクタも、子どもにとって大切な遊び道具なのです。

ダンボール箱や木の箱は、積木のように積み重ねて遊べます。プラスチックのびんは、切ったり形を整えて、水遊びや砂遊びに使ったり、形合わせのおもちゃとしても使えます。こんな身近な素材をたくさん与えることが、子どもの旺盛な知識欲、冒険心を刺激するということを忘れないで下さい。

このシリーズは、私どもの尊敬する提携先である日本の「いずみ書房」の要請に応じて、たくさんある「レディバード・ブックス」の中から、未就学児にふさわしい絵本を厳選したものです。きっと、毎日の子育てに役立たせることができることでしょう。

特に、別巻の「お母さんとお父さんの育児・しつけ教室」 の5冊は、子どもの潜在能力を引きだすことの大切さ、さまざまな状況をフルに活用することの大切さに気づいたご両親のお手伝いをし、刺激をあたえることをめざしています。まずこの本を通読し、子どもへの育児・しつけをどのように行なうべきかを理解し、わが子の年齢にあった教育をしてください。なお、ここに示した年齢は、あくまで参考です。子どもには、非常に個人差がありますので、愛情と忍耐をもって、お子さまの知的成長を暖かくみまもってください。

いずみ書房が1985年に刊行した、6番目のシリーズ「レディバード図書館」の特色を掲げてみよう。

(1) 世界で最も読まれている絵本の日本語版

英国レディバード社は当時、首都ロンドンの北西150kmにあるラフボロウという小都市にあった。出版社でありながら、6000坪ほどの敷地内に印刷工場、製本工場を持ち、すべて自社で一貫生産する体制を敷いていた。1日の生産可能冊数は20万冊以上、年間4000万冊を製造し、世界最大の児童出版社といわれていた。出版物のほとんどが「レディバード・ブックス」という12×18cmのコンパクト判の上製本で、当時、幼児・児童向けに600点ほどを刊行していた。

「レディバード・ブックス」シリーズのうち当社では、特に就学前の子ども向けのジャンルにしぼり、「生活絵本」3点、「知識の絵本」6点、「文字遊びの絵本」6点、「言葉の数を増やす本」5点、「やさしい昔ばなし」7点、年齢別「育児・しつけ教室」5点、計32点を厳選した。さらに、ホワイトブック、プレイブック、ガイドブックを加え、「レディバード図書館」(全27巻・別巻8)とした。

(2) ヨーロッパの幼児教育の原点

本シリーズの総合プロデューサーに、ウィングフィールド夫妻にお願いした。夫人のエセルさんは、著名な教育評論家。7年間の小学校教師を経て、5歳以下の保育学校(ナーサリースクール)に15年勤務後、3つの保育学校の校長を歴任した実践家。ご主人のハリー氏は、写実的な絵を描く英国を代表する画家。

特に、別巻の年齢別「育児・しつけ教室」の5点は、イギリスの幼児教育の原点といわれるほど定評ある教育書で、ウィングフィールド夫妻の代表作。教育とは「教え導く」ものでなく、子どもが生来そなえている潜在能力を「引き出す」ことがその本質である。未就学期こそ親は子どもをしっかりみつめ、社会的に自立できるよう導くことが大切。小学生になったら、一人前のジェントルマン、レディとして、親は子に接するようにせよ、と明快に語る。子どもの年齢に応じ、さまざまな状況にどのように対処すべきか、どのように演出していけばよいか、子どもの知りたい欲求をどう刺激すればよいか、わが子の教育にたずさわる両親へさまざまなヒントをわかりやすく提言する。

(3) 英国一流の画家によるユーモアあふれる1000点をこえる絵

ハリー・ウィングフィールド氏は、本シリーズ32点のうちの17点の絵を担当。そのほかロバート・ラムレイ、マーチン・アイチソン、ベトラ・ストーンら英国を代表する画家によるはっきりとした色使いによる作品が目白押しで、どのページを開いても何かしらの感銘を呼ぶのはさすがだ。さらに、あちこちに英国特有のユーモアがちりばめられ、こだわりと子どもたちへの暖かいまなざしが感じられる。

私が、「いずみ書房」という出版社をはじめる端緒となったのは、英国レディバード社の刊行するコンパクト版の絵本シリーズ「レディバードブックス」との出会いからだった。このことは、5月30日にブログを開始した当初数回にわたり詳述してきたので省略するが、会社をはじめてからも、レディバード社の刊行するシリーズはいつも気になる存在で、ユニークな新刊を入手するたびに、いつかこのシリーズの翻訳権を獲得して、日本語版を刊行したいと考えていた。その願いが、思わぬことがキッカケになって、実現できることになった。このあたりの事情を何回かに分けて綴ってみる。

当社の草創期に、最大の卸先だったJ・チェーンが倒産したため、2千万円を超える不渡りをこうむった話を書いた。この時の大苦戦物語に多くの方から「よく乗り切りましたネ」といわれるが、振り返って考えると、若さとみなぎる情熱があったからこそ、あの苦難を乗り越えられたものと今さらながらに思う。最終的には、なけなしの土地を1000万円で売り払うことで決着し、その後のフランチャイズ販売組織を立ち上げることができた。そして、いずみ文庫(童話図書館科学図書館・ワールド図書館伝記図書館)と、「みんなのおんがくかい」という5大シリーズを刊行し、全国販売組織の基盤を築くことができた。そして、これに続くシリーズが1985年に発売した「レディバード図書館」(27巻・別巻8)であった。

その頃の出版直販界は、厳しい風が吹きはじめており、これまで業界をリードしてきた「ブックローン」や「ほるぷ」といった大手も苦戦が続き、組織の衰えが目立ってきたころであった。当社も例外ではなく、新商品の投入にもかかわらず、前年比横ばいかダウンが続き、新たなシリーズを刊行できる資金的余裕はまったくなくなっていた。

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