児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

レディバード図書館

昨年12月28日号に続き、いずみ書房が英国レディバード社から翻訳権を得て、1985年に6番目のシリーズとして刊行した「レディバード図書館」のおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう。


(22) にげだした ホットケーキ


ホットケーキ1この話も 「ひよこのリキン」 と同じような典型的な繰り返し話です。逃げだしたホットケーキをみんなで追いかけるという、いたって単純なストーリーですが、そのユーモラスでしかもリズミカルな展開は、お話になれていない幼児にぴったりです。しかも、子どもたちの大好きなホットケーキが主人公ですから、それだけでも興味深いイギリスのお話です。1700年代後半に生まれた比較的新しい昔ばなしだといわれています。


ホットケーキ2お母さんのつくるホットケーキを待っている7人の子どもたちの姿は、まさにお話を聞く子ども自身の姿であり、焼けるのを今か今かと待つ気持ち、やっと食べられるかと思ったところが逃げられてしまう悔しさ、ホットケーキを必死に追いかけるすがた、最後にブタにたべられてガッカリした気持ち。子どもを作品の中に参加させて、ハラハラドキドキ、空想の世界に遊ばせますが、最後には現実に引きもどし、子どもに現実をいじくりまわすことを許さない厳しさがあります。その点は、「ひよこのりキン」 にも共通するテーマだといえましょう。


ホットケーキ3


前回に続き「レディバード図書館」シリーズのおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう。


(21) ひよこの リキン


イギリスに伝わる昔話で、ナンセンスな笑いに富んだ典型的な繰り返し話です。おとなからみると、同じことの繰り返しはくどいように感じられますが、子どもは飽きるどころか、繰り返しが重なるたびに話の内容をしっかりつかみます。次にどうなるのだろう、やはりそうだったという、予想と確信が子どもをひきつけるためです。



ひよこのリキン1
ひよこのリキンの頭にどんぐりが落ちてきて 「空が落ちてきた」 と錯覚することから端を発っし、ひよこから、めんどり、おんどり、めすがも、おすがも、がちょう、しちめんちょうに伝わって、最後にきつねの親子に食べられてしまうというこっけいなお話です。ちょっと考えてみれば、空が落ちてくるというようなおかしなことがあるはずがないのに、それを信じてしまう鳥たちの愚かさに、子どもは優越感を持つのでしょう。このお話が、イギリスの子どもたちに人気があるもうひとつの理由は、登場する鳥たちの名前のおもしろさです。



ひよこのリキン2
ひよこのりキン・・・チッキン・リッキン
めんどりのペニー・・・ヘニー・ペニー
おんどりのロッキー・・・コッキー・ロッキー
めすがものラッキー・・・ダッキー・ラッキー
おすがものレイキー・・・ドレイキー・レイキー
がちょうのルーシー・・・グーシー・ルーシー
しちめんちょうのラーキー・・・ターキー・ラーキー
きつねのロキシー・・・フォキシー・ロキシー
子どもがこのお話になれたら、それぞれの名前を英語よみにするのも、おもしろいでしょう。


前回に続き「レディバード図書館」シリーズのおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう。


(19) きるものの おはなしをしよう


これまでに、個別に学んだ色や形などを、この巻では、毛糸玉を使って色の理解を深め、つぎあての布を丸、三角、四角にして形への理解、ボタンの数で数字の理解へと導きます。
きるもの
また、着るものと季節や天候を結びつけること、右手・左手の区別、着るものを通して合うもの・合わないものを理解できるように導きます。


(20) ねむりの おはなしをしよう


幼児に本を読みきかせる時間帯は、寝る前が最も適しているといってよいでしょう。そこで、この本では、そろそろ眠くなってきた子どもに、眠りについてのさまざまな話題を用意しました。生きものはみんな眠ることからはじまり、子どもが眠ったあとも大人はまだ何かをしていること、ほとんどの人が眠っている真夜中にも働いている人がいること、動物には、昼間眠って夜になると活動するものがいること……など。



ねむりのおはなし
それから、寝る前にはしっかり歯をみがくことが大事であること、ぬいだものをきちんとたたんでおくことなどを、絵本をみながらしつけていきたいものです。



前回に続き「レディバード図書館」シリーズのおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう。


(17) あかちゃんの おはなしをしよう


第1子の子どもにやがて弟か妹が生まれてくるというとき、第2子誕生の前に、心の準備をさせるためにいろいろ話し合っておかなければなりません。そして、お兄ちゃん、お姉ちゃんになるのだという自覚をさせてください。お母さんは、赤ちゃんを産むためにしばらく家を留守にすること、また、赤ちゃんが生まれたら病院へ会いに行ってもいいことなどを話しましよう。きっと、期待に胸をふくらませるはずです。あかちゃんまた、子どもはだれも、自分がどのように生まれ、育てられてきたかを知りたがります。この本では、赤ちゃんについてのさまざまな局面を用意しましたので、ページを開きながら、バラエティに富んだお話をしてください。


(18) いえのなかの おはなしをしよう


この本では、家での日常生活をテーマにしています。導入部では、人の五感、つまり味覚、視覚、臭覚、聴覚、触覚について示し、たとえば、味覚では、「あまい」「にがい」「すっぱい」「しょっぱい」といった言葉を引出すように促してください。いえのなかまた、おそうじ、食事のしたくをする場面をだして、楽しみながら、お手伝いをすることの意義を教えてください。



前回に続き「レディバード図書館」シリーズのおもな絵本には、どのようなねらいがあり、どう利用してほしいか、監修者ウィングフィールド夫妻のコメントを紹介してみよう。
(16) どうぶつの おはなしをしよう
これまでの巻は、どちらかというと、ある物の部分的なものが中心でした。この本の最初のページをみてもらえばおわかりのように、絵全体から部分の意味を知り、発展的内容を考えさせます。




どうぶつのおはなし1
たとえば、この絵の中には、大きな動物に小さな動物、泳げる鳥に泳げない鳥、親もいれば子もいます。親鳥が、巣の上であたりをうかがい、その下に巣があって、赤ちゃん鳥がお母さん鳥の気配を察して、口をあけて待っていることなどを指摘しながらお話をすることができます。このように、全体から部分をとらえる能力は、子どもの理解力を深め、言葉をますます豊富にさせる原動力になります。



どうぶつのおはなし2

このページにつづいて、「仲間を集めよう」とか、「黒いのはどれ?」 とか、形や色の視覚的相違を指摘すること、物ごとの関連を知ることは、後に読むことを学ぶときに、大きな助けになることでしょう。




どうぶつのおはなし3
この巻に限らず、以下の4巻にも「お話しよう」という場面が登場します。ごく幼い子どもには、各々の絵を指さしながら、ストーリーをお話してあげてください。やがて、時期がくれば、子どもは自分から物語を話したくなるに違いありません。その他、「長い犬」 のお話では、中、外、あいだ、うしろ、前といった位置関係を楽しく説明することができますし、単純な数や、1組の動物、1組の鳥といったような「組」の概念を知らせます。これは、将来の算数学習の基本的な部分です。




どうぶつのおはなし4
また、32ページの動物の好きな食べもののところで、亀は一般に雑食で何でも食べますが、幼時は肉食の傾向が強く、成長するにつれ草食の傾向が強くなります。間違いやすいところですので気をつけて教えてください。


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