児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

みんなのおんがくかい

1983年に発売を開始した「みんなのおんがくかい」の特徴を、改めて5つのポイントにまとめてみました。発売当時はカセット12巻でしたが、のちにCD12枚に変更、判型も当初はA5判上製(各32ページ)を、A4判上製に変更しました。

(1) 夢がひろがるたのしい童謡120曲を厳選
日本人の心のふるさととして、歌い継がれてきた名曲から、新しく生まれた名品まで、たくさんの歌の中から、珠玉の童謡120曲を厳選しました。しかも、文部省の幼稚園教育要綱、厚生省の保育指針および小学校の音楽教科書を参考に選曲しています。

(2) 愛をはぐくむ世界の名曲48曲を選曲
子どもたちにやさしく語りかけるセミクラシックの世界は、愛に満ちた美しい心をはぐくみ、右脳を刺激して才能豊かな人を作り上げます。小中学校の鑑賞教材曲を中心に心に印象深く残る名曲、子どもたちに是非聞かせたい世界の名曲48曲を選曲しました。

(3) CD12枚・歌の絵本12冊・全曲おさめた楽譜集付
CD1枚に対応した歌の絵本が1冊ずつついて、ページをめくるごとに夢を呼ぶ素晴らしい世界がひろがります。全120曲の童謡を五十音順に収めた、見やすく歌いやすい楽譜集もついていますから、CDにあわせて歌ったり、家族でいっしょに歌ったりするときに便利です。

(4) 最新のリズムアレンジ、一流の歌手・合唱団・楽団による名演
子どもたちは、生まれつきリズムが大好きです。「みんなのおんがくかい」は、最新のリズムで録音されていますから、自然に曲にとけこんでいけるばかりでなく、正しいリズム感覚を養います。また、熊倉一雄、片桐和子、宍倉正信、友竹正則、大志万明子、天地総子、大杉久美子、水森亜土、山田康雄ら17名の歌手、東京荒川少年少女合唱隊、西六郷少年少女合唱団、わかば児童合唱団、フォア・エコーズ、エコ・エレガンテ、スクールメイツなど11の合唱団による歌唱と、ロンドン交響楽団、ハンブルグ放送交響楽団、プロムジカ交響楽団、羽田健太郎らによるセミクラシックの名演奏です。さらに、一流音響メーカーであるアポロン(当時)の制作ですから、ご家庭で本格的な音楽会が楽しめます。

(5) 母と子の対話を深める指針と懇切な名曲解説
従来の童謡絵本は、単に歌詞に絵がそえられたものがほとんどでした。「みんなのおんがくかい」は、童謡1曲ごとに、その歌の心を子どもたちに話しかけられるように、指針そえました。CDを聞いたあと、お母さんがうたって聞かせたり、子どもたちにやさしく話しかけてください。親と子の心の絆がしっかりむすばれていくことでしょう。歌の絵本の各巻末には、セミクラシックの名曲をわかりやすく紹介しました。

現在、特価38000円(定価48000円)で販売しております。詳しくは、いずみ書房のホームページを参照ください。

みんなのおんがくかい」には、48曲のセミクラシックの名曲を収録しており、このすべてに、これまで例のないような、母親がわが子に話して聞かせられるやさしい解説を付けた。子どものピアノ発表会でもっとも人気のある曲としても有名な、ベートーベン作曲の「エリーゼのために」は、次のように紹介している。

エリーゼというのは、女の人の名まえです。どのような女性だったのか、それは、わかりません。でも、楽譜に「エリーゼの思い出のために、ベートーベン作曲」と記されていたというのですから、ベートーベンの恋人だったのでしょう。ピアノの前で、かわいいエリーゼを思いだしているうちに、指が自然に流れるように動いて、この美しい曲が生まれたのではないでしょうか。
曲の形は、主題の部分が、まるで、まわっているようにくり返される、ロンド形式といわれるものです。なるほどこの「エリーゼのために」は、甘くもの悲しいせんりつが、なんどもくり返されています。それは、エリーゼがベートーベンの恋人だったとしたら、断ちきれない愛の深さが、曲のくり返しになってしまったのかもしれません。自分の心にだけ、そっとしまっておきたい、清らかな愛……。
ベートーベンは、「英雄」「運命」「田園」などの交響曲のほかに、「月光」「ワルトシュタイン」など多くのピアノ曲の傑作をも残しています。そのピアノ曲のうち、この「エリーゼのために」は40歳のころの作品だといわれています。ベートーベンは、28歳のころからしだいに両耳が不自由になり、31歳のときには、自殺さえ考えています。40歳近くでは、鳥のさえずりも、人の話も、楽器の音も、ほとんど聞きとれないほどになってしまいました。
ベートーベンは、ピアノから流れる音を、心の耳でとらえながら、この「エリーゼのために」を作曲したのでしょう。だからこそ、曲の美しさが、こんなにも心にしみ入ってくるのかもしれません。目をとじると、ベートーベンのやさしさが、あたたかく伝わってきます。


本日も、「みんなのおんがくかい」の曲にそえられた解説の例をあげてみよう。



わらべうたの「ひらいたひらいた」(作詞・作曲不詳) の歌詞は、つぎの通り。 (1) ひらいた/ひらいた/なんのはなが/ひらいた/れんげのはなが/ひらいた/ひらいたと/おもったら/いつのまにか/つぼんだ (2) つぼんだ/つぼんだ/なんのはなが/つぼんだ/れんげのはなが/つぼんだ/つぼんだと/おもったら/いつのまにか/ひらいた




ひらいたひらいた
れんげの花って、池や沼の水の上に咲く、ハスの花のことなの。赤や白や桃色の大きな花は、夏の朝、お日さまの光を受けると開いて、みんながおやつを食べる3時ころにはつぼむの。そして、次の日も開いてつぼんで、その次の日も開いてつぼんで、4日めには散ってしまうの。お姫さまのようにきれいな花なのに、たった3日しか咲かないなんて、なんだか、かわいそうな花ね。でも、この歌をみんなでうたいながら遊ぶのは、とっても楽しいわよ。みんなの手をつないで作った大きな花の輪を「ひらいたひらいた」と歌って広げ、「いつのまにかつぼんだ」とうたってつぼめ、「つぼんだとおもったら、いつのまにかひらいた」とうたって、もういちど広げるの。ハスの花が、ほんとうに、開いたりつぼんだりしているように見えるのよ。こうして、お友だちと手をつないで遊んだら、みんな、もっともっと仲よしになるわね。



この歌には、ちょっとしたエピソードがある。当時の小学1年生の音楽の教科書に、この歌が掲載されていた。次の通り(改訂前)、描かれている花はレンゲ草である。これは明らかに間違いなので、文部省(現・文部科学省)へ電話を入れたところ、調べた上で返事をしますという。返事はなかったが、改訂時期でもなかったのに、翌年の教科書では、つぎのように替えられていた。教科書会社も、しまったと思ったに違いない。



「訂正前」


ひらいたひらいた教科書改訂前



「訂正後」


ひらいたひらいた教科書改訂後




昨日、「みんなのおんがくかい」を紹介した際、歌にまつわる解説が168曲すべてについており「アイアイ」を例にあげたところ、さっそく鹿児島県に住むKさんから次のような電話をいただいた。



「アイアイ」がサルの種類であることをはじめて知りました。マダガスカル島に住んでいるこんなかわいいサルだったなんてとてもビックリ。だいぶ以前私が見た絵本にそえられていた絵は、チンパンジーのようなサルだったような気がします。あれは間違いだったのですね。お手数ですが、どの歌でもかまいませんので、他にもう2、3の歌の解説を見ることはできないでしょうか。購入を本気に考えていますので、よろしくお願いします。



リクエストにお応えして、いくつか紹介してみよう。まずは、平井堅の歌で大ヒットした「おおきなふるどけい」(H・C・ワーク作詞・作曲、訳詞・保富康午)




おおきなふるどけい
この大きな古時計、100年も動いてたんだって。おじいさんが生まれたとき、おじいさんのお父さんが買ってきたの。 そして、それからは、いつも、小さな声でチクタクチクタク言いながら、おじいさんや、おうちの人に 「もう朝ですよ」 「ごはんの時間ですよ」 「おやつの時間ですよ」 「お父さんが帰ってくる時間ですよ」 「お休みの時間ですよ」って、知らせてきたの。たいへんだったでしょうね。長い針と短い針が12のところにきたときは、どんな音をだしたのかな。大きい時計だからボーン、ボーンかな。おうちに、うれしいことがあったときは、うれしそうにボーンボーン、悲しいことがあったときは、悲しそうにボーンボーンと鳴ったのよね。おじいさんが死んだら、動かなくなってしまったの。おじいさんが天国へ行ったから、時計も、おじいさんについて、天国へ行ったのよ、ねえ、そう思うでしょ。



つづいて、野口雨情作詞、本居長世作曲の「あかいくつ」




あかいくつ
異人さんというのは、よその国の人のことなの。赤いくつをはいた女の子は、その異人さんに手をひかれて、遠い遠い国へ行ってしまったの。異人さんに、もらわれていったのかしら。ひとりで知らない国へ行くなんて、さみしかったでしょうねえ。お船の上で、青い空に、お母さん雲と子どもの雲が浮かんでいるのを見ながら、夜、お母さん星と子どもの星が並んで光っているのを見ながら、目に、なみだをいっぱいうかべたのじゃないかしら。でも、遠い国へ行ったら、きっと、しあわせになったと思うわ。やさしい女の子だったから、みんなにかわいがられたわよねえ。そして、大きくなったら異人さんと結婚して、青い目のおんなの子を産んで、その子に赤いくつをはかせてあげたんじゃないかしら。





みんなのおんがくかい
いずみ書房のオリジナルシリーズの第5弾は、1983年5月に販売を開始した「みんなのおんがくかい」(全12巻)だった。絵本12冊と絵本に対応したカセット12巻 (のちにCD12枚) と楽譜集からなり、1冊の絵本に童謡が10曲、セミクラシック4曲を収録した。トータルで童謡120曲、セミクラシック48曲を収録したことになる。



このシリーズの最大の特長は、これまで他社で刊行されてきた童謡絵本が、単に絵に歌詞がそえられているものだったのに対し、このシリーズでは1曲ごとに、歌の解説を付けたことだ。たとえば、相田裕美作詞、宇野誠一郎作曲の「アイアイ」では、次のようになっている。




あいあい
「アイアイって、サルの種類の名まえなのよ。ゾウやライオンやキリンなどがたくさんいるアフリカの近くに、サツマイモの形をしたマダガスカルという島があって、アイアイはその島にすんでいるの。サルなのにリスに似ていて、目は丸く、しっぽはふとくて長いのよ。おうちは、木の上に、葉っぱをたくさん集めてきて、まーるいのをつくるんだって。耳が大きくてかわいいアイアイは、その葉っぱのおうちで眠るとき、どんな夢を見るのでしょうねえ。葉っぱのじゅうたんに乗って空を飛んでる夢かしら、アイアイの王さまになった夢かしら、それともやはり、ごちそうの夢かしら。島へごちそうを持っていって、おーいアイアイって呼んでみたいわね。アイアイの赤ちゃんも遊びにきてくれるわよ、きっと」



このように120曲の童謡、セミクラシック48曲、168曲すべての曲に母親が子に語りかけるヒントになるような、曲にまつわる心温まる解説を付けたことである。



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