児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

2011年01月

好評につき、続・小噺(こばなし)を紹介しましょう。

少しばかり頭の弱い親子の会話です。「兄さん、来年のお正月とお盆はどっちが先にくるの?」「そんなこと、来年にならなければ、わかるわけないよ」。それを聞いていた親父「さすがは兄貴だ、考えがしっかりしてる」

浅草の観音さまに泥棒が入って、おさい銭をぬすんだところ、表門で仁王(におう)に捕まりました。「おさい銭をぬすむなんて、とんでもない野郎だ」ぐーっと持ち上げて、落ちたところをふんずけました。泥棒は思わず、プーッと一発。「ううっ、このくせーもの」「へへへへ…、におうか」

「いわしーっ、いわしこ」と売り声をあげながら、魚屋が歩きます。そのあとへ、篩(ふる)いという、粉を選り分ける道具を売る篩屋が「ふるーい、ふるい」と続きます。魚屋が篩屋に「おれの魚が古いみたいじゃねぇーか」と文句をいってるところへ、古金屋がやってきて、私がそのあとに続ければ大丈夫だといいます。
「いわしーっ、いわしこ」「ふるーい、ふるい」「ふるかねー、ふるかね」

国際的な小噺です。「この帽子はドイツんだ」「オランダ」「でもイラン」

けちな男が、鰻屋のとなりに引っ越してきました。毎日毎日、鰻を焼くにおをかいでは、ごはんを食べていました。ところが、これまたけちな鰻屋は [においの嗅ぎ代、五百文] という勘定書きを、男に持っていきました。「なにっ、鰻のにおいをかぐだけで、金を取るってのか」「においをかいで、ごはんを食べてたのを知ってますよ」「よーし、わかった」男は財布から金を出して、手の中で、ジャラジャラ音を立てながら「さあ、この音をよく聞け。音だけだぞー」

「おーい、大変だぁ、大変だぁ」「おおい、どうした」「あ、兄ぃ、今、泥棒を追っかけてるんだ」「泥棒だと、 町内一のお前に追っかけられちゃ、泥棒も災難だな。で、泥棒はどっちへ逃げた」「今、後から来る」

「猫をもらってきたんだが、なにか、強そうな名前はねぇかな」「猫の仲間で一番強いのは、なんたって虎だ」「いや、昔から竜虎の争いといって、虎より竜の方が上だ」「いや、竜より雲の方が強い、竜は雲をつかんで空へのぼるってぇから」「いや、雲より風の方が強い、吹き飛ばしちゃう」「風より壁の方が強い、風を止めちゃう」「壁よりねずみの方が強い、かじって穴あけちまう」「ねずみより猫の方が強い、捕まえて食っちゃう」「じゃあ決まった、こいつの名前は、猫だぁ」

「富士の山へ行ってきました」「偉いですなぁ、お山は晴れてましたか」「すばらしい見はらしでした」「じゃ、うちの2階の物干しの浴衣が見えませんでしたか」「いや、駿河の山のてっぺんから、江戸の物干しは見えませんでした」「いやー、不思議ですねぇ、うちの物干しからは、富士の山はよく見えるんですけど」


「1月7日はこんな日」

「七草がゆ」を食べる日…[せり/なずな(ぺんぺんぐさ)/おぎょう(ははこぐさ)/はこべら(はこべ)/ほとけのざ(たびらこ)/すずな(かぶ)/すずしろ(だいこん)/春の七草] と歌われる7種類の草を入れたおかゆを食べれば、無病息災(病気にならず健康である)という風習です。平安時代以前に中国から伝わったといわれていますが、単なる迷信ではなく、ちょうど正月料理に飽きたころ、冬枯れの季節に青物を補給するという食生活上の効用が指摘されています。


「1月7日にあった主なできごと」

1490年 足利義政死去…室町幕府第8代将軍でありながら政治に興味がなく、11年も続く内乱「応仁の乱」をひきおこすきっかけをこしらえた 足利義政 が亡くなりました。しかし、銀閣寺を建てるなど、東山文化を遺した功績は評価されています。

1835年 前島密誕生…日本の近代郵便制度の創設者で「郵便」「切手」「葉書」という名称を定めた 前島密 が生まれました。

1868年 征討令…1月3日~6日の鳥羽・伏見の戦いに勝利した維新政府は、この日江戸城にこもった 徳川慶喜 に征討令を出し、同時に諸藩に対して上京を命じました。征討軍の総帥は 西郷隆盛。同年4月11日、徳川家の謝罪を条件に江戸城・明け渡し(無血開城)が行なわれました。

1932年 スティムソン・ドクトリン…アメリカの国務長官スティムソンは、この日「満州における日本軍の行動は、パリ不戦条約に違反するもので、これによって生ずる一切の状態を承認することはできない」との声明を発し、日本政府を弾劾しました。これが、太平洋戦争に至るアメリカの対日基本方針となりました。

1989年 昭和天皇崩御・・・前年から容態が危ぶまれていた昭和天皇が亡くなりました。皇太子明仁親王が天皇に即位し、昭和64年は平成元年となりました。昭和は日本の元号のなかでは最も長い62年と2週間でした。

落語に親しむには、いくつかの小噺(こばなし)を覚えるのが、いちばんよろしいようで。

「向かいの空き地に囲いが出来たって」「へぇー!」

「えェー、天国の小噺です」「あのヨォー」

「このねずみおっきぃね」「ちっちゃいよ」「大きいだろ」「ちっちゃい」。するとねずみが、「チュー」

「ぼくんち広くなったから、遊びにおいでよ」「引っ越したのか?」「父ちゃん、タンス売ったんだ」

「君の服にはいつも花があるね」「花なんてないよ」「だって、ボタンがあるだろ」

耳の遠い親子がありました。「おーい、せがれや。今そこを通ったのは、横町の山本さんじゃないかな」「何いってんだよ、おとっつぁん、横町の山本さんだよ」「ああ、そうかい、おれはてっきり、横町の山本さんかと思った」

「お兄ちゃん、背の高さ計ってあげる」「それじゃ、頼むよ」「ちょっとぉ、とどかないから、頭下げてくれない」

韓国や中国には、朴(ぼく)さんとか荘(そう)さんといった名前の方がいらっしゃいます。朴さんが、荘さんに電話をしました。「ぼく、ぼくですけど、そうさんいますか」「はい、そうです」

友だちが集まって、ふぐ汁を食べようということになりました。でも、当たると大変ということで、だれも先に手をつけません。「橋の下にいるこじきに食わせてやろう」「そいつはいい、あとで見にいって、あいつがまだ生きていたら、おれたちも、安心して食える」
ひどいやつらがあったもんです。こじきに一杯ふるまうと、時間を見計らって、のぞいてみましたが、ぴんぴんしています。みんなは安心してふぐ汁に舌鼓をうち、また橋の下にでかけて「ふぐ汁はうまかったな」と、こじきに声をかけました。すると「みなさん、お食べになったんで…、それじゃ大丈夫、私も食べることにいたしましょう」

「おい、このカメは長生きするだろうな」「カメは万年っていいますもんね」「ほんとに生きるのか」「ほんとですとも」。夜店でカメを買った男が朝起きると、カメが死んでいます。かんかんになった男は、夜店のおやじに文句をいいますと、すずしい顔で「そうですか、今朝が万年目だったんですなぁ」


「1月6日にあった主なできごと」

1215年 北条時政死去…鎌倉時代の初期、源頼朝の打ちたてた鎌倉幕府の実権を握り、北条氏の執権政治の基礎を築いた武将・北条時政 が亡くなりました。

1412年 ジャンヌ・ダルク誕生…「百年戦争」 でイギリス軍からフランスを救った少女 ジャンヌ・ダルク が生まれました。

1706年 フランクリン誕生…アメリカ独立に多大な貢献をした政治家、外交官、また著述家、物理学者、気象学者として多岐な分野で活躍した フランクリン が生まれました。

1822年 シュリーマン誕生…少年時代 「子ども世界史」 という本で読んだ伝説だというトロヤ戦争が、ほんとうにあったことだと信じ、トロヤの遺跡を掘りおこした シュリーマン が生まれました。

1831年 良寛死去…自然や子どもを愛しながら、歌人・詩人・書家として生きた僧侶 良寛 が亡くなりました。

1884年 メンデル死去…オーストリアの司祭で、植物学研究を行い、メンデルの法則と呼ばれる遺伝に関する法則を発見した メンデル が亡くなりました。

1887年 シャーロック・ホームズ登場…イギリスの推理作家コナン・ドイルは、『緋色の研究』の中で名探偵シャーロック・ホームズを初めて登場させました。

1912年 大陸移動説…ドイツの地理学者ウェゲナーは、地球上の大陸は一つの大きな大陸が分裂・移動して生まれたという「大陸移動説」を学会で発表。長い間否定されていましたが、1950年代の磁力計の進歩によって、現在は定説となっています。

あけましておめでとうございます。

最近、江戸の庶民文化にふれているうち、「古典落語」 の奥深さに、あらためて目覚めています。落語には、子どもの頃、ラジオにしがみついて熱中したことがあり、37年前の「いずみ書房」創業以来、子ども向け落語シリーズを構想して、たくさんの落語関連資料を収集してきました。

数年前に、NHKの教育番組「にほんごであそぼ」で「寿限無(じゅげむ)」が紹介されてから、大人ばかりでなく、子どもを対象にした落語も静かなブームになっています。クレヨンハウスの落語絵本シリーズ「じゅげむ」が30万部のベストセラーになったり、偕成社から出版されていた「少年少女名作落語」(13巻)が復刊されるなど、さまざまな出版社が「落語」に挑戦しています。当社の通信販売カタログ「ちゃおーね」でも、ここ数年4代目桂文我のライブCD「おやこ寄席」を取り扱い、毎回好評をいただいております。

この半年ばかりの私は、ちくま文庫「落語百選」(春・夏・秋・冬)「落語特選」(上・下)を毎日2~3編ずつ読んでいるうち、急にライブの落語を見たくなって、新宿「末広亭」・浅草「演芸ホール」・上野「鈴本演芸場」へ、ちょくちょく出かけるようになりました。入場料の2500~3000円は安くはありませんが、昼夜各3時間前後(入場時間自由)で、思っていた以上に出演者のレベルは高く、鑑賞する「価値あり」です。なお、ちょっとのぞいてみたいと思う向きは、新宿「末広亭」で毎週土曜日に開催されている「深夜寄席」(夜9時30分~11時・入場料500円)や、上野「鈴本演芸場」の「早朝寄席」(毎日曜日朝10時~11時30分・入場料500円)をお勧めします。詳しくは、各寄席のホームページをご覧ください。

2005年5月から開始したこのブログも、投稿数1200回を超えました。「おもしろ落語」コーナー(右にあるカテゴリー)として、「古典落語」の各噺(はなし)の内容や、落語に関するさまざまな情報を、随時紹介していきたいと考えています。時代設定こそ江戸や明治・大正・昭和初期ですが、落語の登場人物が、どんなに苦しい状況下にあっても、見事に生き生きと乗り切るたくましさに、思わず吹き出してしまいます。そして、あらためて「古典落語」が、世の中が変わっても通用する、普遍性のある噺であることを感じてしまいます。

今年も、よろしくおつきあいのほどお願い申し上げます。


「1月5日にあった主なできごと」

1867年 夏目漱石誕生…『坊ちゃん』『吾輩は猫である』『草枕』などの小説で、森鴎外と並び近代日本文学界の巨星といわれる夏目漱石が生まれました。

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