児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

2007年06月

ヨーロッパへでかけたり歴史や文化にふれたりしていくと、英語以外に、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語の5ヶ国語に出会う機会が多くなります。先月はドイツにでかけて印象に残ったのが、世界的に有名な城でディズニー映画「白雪姫」の城のモデルともなった「ノイシュバンシュタイン」。はじめは何とも覚えにくい名前だと思いましたが、英語読みではノイが New、シュバンが Swan、シュタインが Castle、つまり「新白鳥城」という意味なのだそうです。それがわかれば、舌をかみそうな名もすぐ覚えられそうです。


以前、イタリアのフィレンツェ(英語読みフローレンス)へ行き、ウフィツ美術館を訪ねたときに知ったことですが、このウフィツは、英語の「オフィス」(事務所)です。昔、司法・行政の執務室だったことからこの名前になったそうですが、「オフィス美術館」では平凡すぎて有り難味がなくなってしまいそうですね。


8世紀のフランク王国で戴冠したカール大帝(ドイツ語読み)は、フランスではシャルルマーニュ、英語ではチャールズ大帝、スペイン語ではカルロス大帝です。名前でいえば、英語のジョンは、ヨハン(独)、ジャン(仏)、ジョバンニ(伊)、ファン(西)、ロシア語となると「イワン」だそうですから驚きです。トルストイの名作「イワンの馬鹿」は、英語圏では「ジョンの馬鹿」というのでしょうか。そのうちヘンリーおじさん(イタリア語でエンリコおじさん)にきいてみることにしましょう。


ついでに、よく出会う名前のそれぞれの読みを掲げてみましょう。アイザック(英)……イザク(仏)、イサク(西)/ウイリアム(英)……ウイルヘルム(独) ギョーム(仏)/エリザベス(英)……エリザベト(独) イサベル(西)/キャサリン(英)……カトリーヌ(仏) カタリーナ(独)/ジョーゼフ(英)……ジョセフ(仏) ヨーゼフ(独)/ポール(英)……パウル(独) パオロ(伊) パブロ(西)/マーガレット(英)……マルグリート(仏) マルガレーテ(独) マルガリータ(西)/メアリー(英)……マリー(仏) マリア(独)


ヨーロッパの歴史や文化などの研究を志す人は、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、できればロシア語、さらにそれぞれの言葉の基礎となったラテン語の基本的な発音のしかたを学べ、といわれるのはこのためなのでしょう。

前回(6/5号)に続き、25年ほど前に初版を刊行した「子どもワールド図書館」(38巻) 第28巻「中央アメリカ」 の巻末解説を記します。
 
「中央アメリカ」について

中南米のことを世界の人びとは、ラテン・アメリカとよんでいます。この土地が、スペイン人やポルトガル人などのラテン民族によって開拓され、いまも、人びとの生活のなかに、ラテン民族の風俗習慣や文化が受けつがれているからです。この本で紹介したのは、そのラテン・アメリカのうち、メキシコを除く中央アメリカの国ぐに、カリブ海に弓なりにつらなる大小の島の国ぐに、それに、南アメリカ大陸北部、西部の国ぐにです。これらの国のラテン性を端的に示しているのは、多くの国の公用語がスペイン語だということです。英語国のジャマイカ、バハマ、バルバドス、トリニダード・トバゴ、グレナダ、ガイアナ、フランス語のハイチを除けば、運河の国パナマも、社会主義の国キューバも、インカ文明の国ペルーも、すべてスペイン語国です。英語、フランス語国はほとんどカリブ海の小国に限られており、全体的にいえば、スペイン語一色といってもよいほどです。多くの国がスペイン語であるというこの現実は、いうまでもなく、各国が、16世紀以来、およそ300年にわたってスペインの植民地であったことを物語るものです。

各国に原住民のインディオがいます。エクアドル、ボリビア、ペルーなどの国では、国民の約半数がそのインディオです。カリブ海の国ぐには、アフリカからつれてこられた黒人もいます。ハイチでは90%以上がその黒人です。しかし、多くの国で絶対数を占めているのは、メスティソとよばれるスペイン人とインディオとの混血です。もちろん、純粋の白人もいます。そして、それらの白人系の人びとが、すべて国の指導権をにぎり、スペイン語国を維持しているのです。ところで、スペイン語であることに問題はないとしても、ながいあいだの植民地政策が、いまもってわざわいをもたらしていることがあります。一つは、農業にみられる大地主制と農作物の単一栽培制、もう一つは、鉱業の開発にみられる外国資本制です。バナナ、コーヒー、さとう、綿花などは、世界でも有数の生産高を誇っています。しかし、多くの国では、いまだに白人の所有になる大地主制が存続し、農作物も、白人の利益中心に生産されているのです。バナナの生産高が高いのは、大農園でバナナだけを生産して輸出することが、白人にとって、もっとも効率のよい利益にむすびつくからです。農業でうるおうのは、大地主と大商人に限られ、農民たちは、必然的に苦しい生活をしいられているというのが現状です。

石油、石炭、金、銀、鉄などの産出量も世界有数です。しかし、これらの多くは、外国の資本によって開発されたため、いまだに、開発自国への原料供給的な性格を大にしています。とくに、このラテン・アメリカを自国の勢力下におこうとするアメリカ合衆国の資本投下が、大きな力を占めています。これでは、いかに地下資源が豊富であっても、それぞれの国は富みません。さいきんは、各国で、農業、工・鉱業の国営化がすすめられてはいます。しかし、やはり、資本と労働力の不足や科学技術のたちおくれが、支障になっています。

さいわいに、このラテン・アメリカの国ぐにでは、住民構成が複雑ではあっても、また、白人優位の社会ではあっても、意図的な人種差別はほとんどありません。*[南アフリカ共和国のような原住民べっ視]も、非常に少ないといわれています。白人、インディオ、黒人、そして日本人を含むさまざまな国からの移住者が協力しあい、各国とも、独立経済の独立国家へ、文盲者の少ない文明国家へと発展しつつあります。
*[1991年、南アフリカ共和国のデクラーク大統領は、原住民べっ視のアパルトヘイト全廃を宣言し、差別はほとんどなくなりました]

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 36

「ちゃんとしつけたはずなのに」 「しつけだけはきびしくしたつもりなのに」……わが子が思いがけないことをしでかしてしまった親の口から、よくこんな言葉を聞かされます。
しかし、よく聞いてみると、しつけのはきちがえが少なくないようです。
しつけという言葉は 「着物を縫うとき縫い目がくるわないように、仮に、糸であらく縫っておく」 という 「しつけ」 から生まれたものとされています。このことからも明らかなように、しつけは、子どもを、がんじがらめにしてしまうものではありません。ところが 「きびしく、しつけたつもりなのに」 というしつけ方には、がんじがらめのにおいがします。
また、着物を縫うときのしつけ糸は、必ずあとで、きれいにとってしまうものなのに、そのことが忘れられてしまっているように思われます。
たしかにしつけとは、ちゃんとしたことを身につけさせるために、子どもにしつけ糸をほどこしていくものです。しかし、そのしつけ糸は、とってしまうものだということ、もっとうがった言い方をすれば、しつけ糸を早くとってしまうために、しつけていくのだ、ということを忘れてはなりません。
しかも、はじめのしつけ糸は親がつけてやったとしても、そのしつけ糸をとる作業は、子ども自身に、子ども自身の力と判断でやらせたいものです。
ところが 「きびしくしたつもり」 の親を見ると、この、しつけ糸を子ども自身にとらせることを忘れてしまっています。しつけられる子どもは人格のある人間であるということを肝に銘じておくことが、何よりも大切でしょう。

前回(6/1号)に続き、25年ほど前に初版を刊行した「子どもワールド図書館」(38巻) 第27巻「メキシコ」 の巻末解説と、その後の変化を記した補足事項を記します。

 「メキシコ」 について

「高原と太陽と花と砂ばくの国」 メキシコは、国土が日本の5倍半、人口は*[約1/2]です。国土の大部分が海抜1500m以上の高原にあり、高度によって気候にちがいがみられます。
*2005年現在の人口1億700万人ですから、日本の約4/5です。

メキシコはほとんど熱帯に位置するのですが、海岸部や低地では熱帯性気候、高地になるにしたがって、亜熱帯から温帯へと変化していくのです。都市の多くは、すごしやすい高地にひらけていて、首都メキシコシティも海抜2259mという高地にあります。そのため、ひざしは強くても気温の変化は少なく、1年中、春のような温暖な気候にめぐまれています。北部高原は、雨の少ないサボテンだらけの半砂漠地帯です。低地や海岸部には、熱帯地域のために、人の住めないところもあるくらいです。

メキシコは、スペイン人の侵入以来長い間スペインの植民地支配の下にありました。古代のころのメキシコは、すばらしい文明をもったインディオが国をつくり、大変栄えていましたが、1521年インディオ最後のアステカ王国が、コルテスの率いるスペイン軍に攻め落とされてから 300年間、人々はスペインの圧政と搾取に苦しんできたのです。銀を中心とする豊富な資源供給国にされ、過酷な税金が課せられました。「独立の父」 イダルゴを先頭にインディオ大衆がたちあがったのは、1810年のことです。この革命は失敗におわりましたが、1821年、ついにメキシコはスペインから独立をかち得たのです。苛酷な使役や迫害の中で、原住民インディオの数は減少し、いまだに最下層の生活に留めおかれています。6千数百万人のメキシコ人のうち、生粋のインディオは約300万人といわれ、大半がメスティソ (スペイン人とインディオの混血) です。スペインの影響は、生活と文化の中に流れていて、公用語はスペイン語、宗教も国民の大多数が熱心なカトリック信者です。建築もスペイン様式が数多く残り、闘牛はもちろんのこと、歌や踊りもスペイン風です。

ところで、現在のメキシコは、国民の半数以上が農民です。綿花、コーヒー、サイザル麻などは重要な輸出品です。銀をはじめとする鉱産資源も豊かで、世界有数の鉱産国です。最近、石油の大規模な埋蔵量が確認され、サウジアラビアにつぐ石油国になるだろうといわれています。メキシコは、長いスペインの支配下にあって、工業の発展がほとんどありませんでしたが、第2次世界大戦を境に、近代的な農工業国家へ変りつつあります。石油化学工業、繊維、食品加工の製造工業、自動車工業などが盛んになっています。しかし、工業資本の大部分は、アメリカを中心とする外国資本でした。したがって、一部の上流メキシコ人を除いて、国民全体の生活水準は低く、生活もあまり楽ではありません。貿易は、対アメリカが大部分で、アメリカに対する経済依存はきわめて強いものがあります。近年は、メキシコ独自の資本投入がふえて、外国資本をしめだす傾向にあります。1938年には、アメリカの石油資本をしめ出して、石油の国有化に成功しました。メキシコは、メキシコ人の手による国づくりを積極的におしすすめています。教育にも非常に力を入れて若い力を育て、インディオ文化をとり入れ生かしながら、着実に前進しているのです。

*補足事項
1994年、アメリカ、カナダ、メキシコ3国による北米自由貿易協定(NAFTA)をむすんだことにより、メキシコは安価な労働力を生かしてアメリカ、カナダ向けに家電製品などの輸出を活発に行なっています。ただし、アメリカへの依存度が高すぎるため、他国との経済提携を進め、2004年には日本と関税の廃止または低減を含む経済提携協定をむすび、貿易量を増やしています。

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」35

お母さんが子どもにぶつける言葉のなかで、[わかっちゃいるけどやめられない] 言葉の代表は 「どうして?」 です。
どうしてそんなことをするの? どうしてわからないの? どうしていうことをきいてくれないの? どうして勉強しないの? どうしていたずらばかりするの? どうしてそんなにのろまなの? あげたら、きりがないほどです。
しかし、考えてみると、これはちょっとおかしな言葉です。子どもは 「どうして?」 と言われても、たいていの場合、それは悪いと承知してやったのではなく、自分の思ったとおりにやったにすぎないのですから。
いたずらをして、親から 「どうして?」 と問いつめられても、子どもは困ってしまいます。子どもは、おもしろそうだから、それをしたにすぎないのですから。

この 「どうして?」 を、何千回くり返しても、効き目はありません。それは、この言葉が、みちびきではなく、あくまでも問いつめにすぎないからです。問いつめは、子どもを無口にすることはあっても、心を解放させることはありません。
「どうして?」 と言いたくなったら、それをぐっとのみこんで、たとえば 「○○ちゃんは、ほんとにいたずらっ子ね。あんなことするの、そんなに、おもしろい? どんなところがおもしろいかなあ」 「あら、けんかしたの、どんなことで、けんかになったの?」 などと語りかけることです。そうすれば、子どもは必ず心をひらいて、自分の思いや事のいきさつを、すなおに話してくれます。親は、そのあとで再び語りかけるようにして、子ども自身に正しいことを判断させながら、みちびいてやりたいものです。

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