児童英語・図書出版社 創業者のこだわりブログ

30歳で独立、31歳で出版社(いずみ書房)を創業。 取次店⇒書店という既成の流通に頼ることなく独自の販売手法を確立。 ユニークな編集ノウハウと教育理念を、そして今を綴る。

2007年03月

昨日に続き、25年ほど前に初版を刊行した「子どもワールド図書館」(38巻)第2巻「ドイツ」の巻末解説と、その後の変化を記した補足事項(2/15号と重複)を記します。


「ドイツ」 について

緑ふかい森や湖、ブドウ畑や古城をめぐって流れる川、牧歌的な田園、中世の面影をのこす都市。
この美しい国、ドイツを訪れる人々が、最も驚かされるのはドイツの多様性です。ドイツは、ヨーロッパのまんなかの位置にあり、いろいろな国と隣り合っているため、昔から西方のロマン族、アングロサクソン族と、東方のスラブ族との交通がしきりに行なわれていました。したがって、海洋的なものと大陸的なものの影響や、こみいった山地と広い平野、気候、人種、気質など、いろいろな要素がまじり合って、この国の文化と経済を実らせてきました。しかし、かえって、こういう位置が、まわりの国々との関係を複雑にして、不幸な戦争をくり返す結果になったのかもしれません。
この国に住むドイツ人は、だいたいゲルマン人とよばれる人たちで、考え方や行動は合理的で正確、生活面でも清潔ずきで、まじめによく働きます。また、団結心が強く、規則や秩序を愛する傾向が強いようです。
ドイツの地形は、北部の低地と、中部の山地、南部の高原とに大きく分けられます。北部の低地は北ドイツ平野とよばれて、ドイツ全土のおよそ半分をしめています。ここは昔、大氷河におおわれていた地帯で、地質もやせ、砂地が多いところですが、今では科学技術の力を活用して、混合農業が行なわれているところです。ベルリン、ハンブルクなど、近代産業とともに発達した都市もあります。中部の山岳地帯は、森林におおわれた高原や丘陵が、渓谷や盆地をかこみ、南部地帯には、バイエルン高原やアルペンの世界があります。中部や南部の町は歴史が古く、ドレスデン、ライプチヒ、ケルン、ミュンヘンなどの大都市をはじめ、周辺の町にも、美しい風景や歴史のあとがみられます。北部と南部の人々の気性もかなり違っていて、几帳面な北ドイツの人にくらべて、南ドイツの人は、陽気でさっぱりしています。
このように、南部が高くて北部が低い地形のため、多くの川が南から北へ流れ、海にそそいでいます。ドイツは海岸線が少ないかわりに、昔からの交通路である河川が、動脈のように流れていて、人々の生活に密接なつながりをもってきました。とくに、ドイツ民族の川ともよばれるライン川は、国際的に重要な交通路であり、その下流のルール工業地帯は、ドイツ産業の中心となっています。また、このライン地方は、気候も暖かく、ドイツで最も明るいところです。
ドイツの歴史ほど、地方分権の分立状態が長く続いた国もないでしょう。19世紀後半にドイツが統一されるまで、それぞれの君主や自治組織のもとで、城や教会をきずき、独自の文化を実らせてきました。ドイツが多様性にとみ、歴史的遺産が豊かであることもうなずけます。ドイツの気候は、日本にくらべて、夏は涼しく、冬はかなり寒く、暗くどんよりした日が長く続きます。このような自然が、ドイツ人をきたえて強い民族とし、重厚な文学や深遠な哲学、それにすばらしい音楽や、すぐれた科学などを生んだともいえるでしょう。
第1次、第2次世界大戦という苦難を体験したドイツ人は、戦後いちはやく立ち直って、今はめざましい復興ぶりをみせています。またたく間に世界一流の工業国にのし上がる一方、東ドイツも東ヨーロッパ第一の経済力をほこる国に発展しました。
しかし、現在もなおドイツは、東と西に分けられて、冷たいにらみ合いを続けています。いったい、いつになったらドイツが平和な国として統一されるのでしょうか。世界平和にもつながる東西統一を、いちばん強く願っているのは、もちろんドイツ国民自身に違いありません。

補足事項
ドイツは、第2次世界大戦敗戦の後、戦勝国によって東西ドイツに分割統治され、国家分断の道を歩んできましたが、1990年10月3日統一を回復しました。アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の戦勝4か国は、ドイツに対してもっていたさまざまな権利を10月3日以降放棄して、統一ドイツは完全な主権をもった国家として国際社会に復帰したのです。
ドイツの統一(ドイツ連邦共和国)は、一連のソ連・東欧改革の結果として実現したものです。1985年に登場したソ連のゴルバチョフ政権のペレストロイカがもたらした最大の成果といわれています。発端は、ゴルバチョフ体制が西側への対決姿勢をあらためたことでした。これに西側世界が呼応し、軍縮などの共同作業をつうじて、東西間の信頼関係がしだいに作られたのです。一方で、自由化をソ連にこばまれてきた東欧市民が、ソ連の変化をとらえていっせいに自立と民主化へ動きだしました。そして、1989年11月、「ベルリンの壁」 が崩壊すると、ドイツ統一の機運が急激に高まり、通貨の統合、ソ連の統一ドイツNATO帰属承認とつづきました。こうして、だれも予想できなかった速さでドイツの統一が実現したのです。統一ドイツの首都はベルリンに決定しました。
ドイツの統一によって、第2次世界大戦後からつづいた欧州の戦後秩序 (欧州の分断)が終わり、欧州は対決から統合へ、新しい時代をむかえました。人口・GDPともに欧州ではとびぬけてトップとなった新生ドイツに、EU加盟諸国ばかりでなく、自由主義経済への転換をはかる東欧諸国からも大きな期待がよせられています。しかし、一方で、2つの世界大戦をひきおこしたドイツの過去の歴史にまゆをひそめる人たちがたくさんいることも事実です。統一があまりにも急であったために、ドイツ経済の混乱はいまだにつづいています。大量失業などの難題をかかえながら、ドイツが今後どのような歩みをみせるか、世界中が注目しています。
通貨は、2002年にドイツマルクからユーロに完全に替わりました。

子どもワールド図書館の巻末解説に感銘

さきごろ、いずみ通販子どもカタログ(2007年春号)でベスト3に躍進した「子どもワールド図書館」の、内容はもとより巻末の解説に深く感銘したという、うれしいお便りを兵庫県のIさんからいただきました。

「これからの時代は、世界の国々と仲良くしていかなくてはならない時代だと思い、小学校の1年の息子のために、子ども向けに世界の国をわかりやすく紹介している本を求めて、書店を何軒かまわって探してみました。昔とちがって、きれいで見やすい世界地図の本がたくさんあります。それから、世界中の国ぐにへの旅行ガイドブックはとても充実していると思いました。ところが、子どもに、それぞれの国はどんな国民性でどんな歴史をたどってきたのか、どんな人物がその国に生まれたのか、すぐれているところはどんなところなのかといった点などを紹介している本はどこにも見当たりませんでした。大人向けの本を買って、子どもにかみくだいて説明する他には方法がないかなと思っていた時に、いずみ書房の最新カタログが送られてきました。すぐに、『ワールド図書館』というのがあること、最新の補遺版が添えられているというのを読んでこれだと思いすぐ注文しました。想像していた以上のすばらしいシリーズだということに気がつきました。毎晩のように、子どもといっしょに世界旅行を楽しんでいます。イラストがふんだんにあること、簡潔な文に好感が持てるだけでなく、私には巻末の解説がとてもすばらしく印象的でした」

このシリーズは、いずれ、いずみ書房のホームページ・オンラインブックにアップする予定ですが、だいぶ先になりそうです。そこで、しばらく「ワールド図書館」の各巻の巻末解説を紹介してみることにしましょう。

「フランス」 について

フランスは、ヨーロッパの西にある共和国です。
ひろさは、約55万km2で日本の1.5倍ほどですが、人口は日本の約半分くらいです。総面積の64%が平野か小高い丘で、土地はたいへん肥えています。気候も日本の東北・北海道より北に位置しているわりには、遠く沖合に流れるメキシコ湾流(暖流)の影響を受けて、全般的に冬もあたたかです。とくに地中海沿岸は1年中温暖で、避寒に適しているため冬でも観光客でにぎわいます。
フランスは、カトリックの国(全国民の80%)です。全国のいたるところに古い教会がみられ、行事もカトリック系のおまつりが多く、休祭日も宗教的なものがたくさんあります。学校でも、カトリック精神のもとにきびしい宗教教育がされていて、そのためフランス人は、冒険や無秩序をきらう、中道を行く傾向が強いようです。しかも、フランス人はひとりひとりの自由を尊び、人間の尊さを守って明るいすぐれた文化をつくりあげてきました。たくさんの芸術家や科学者を生み、まさにフランスは、文化的には世界一級の先進国だといえます。
フランスは豊かな国でした。19世紀の時代に海外に手をのばし、侵略、投資を行って、実に本国の20倍近くもの広さをもつ植民地をつくりあげたのです。植民地との思うがままの貿易によって利益を得、フランスはたいへん栄えました。ところが20世紀に入るとヨーロッパの大国は、外国に領土を持とうとするいわゆる帝国主義の国家になり、植民地のとりあいをめぐって2度も世界大戦をおこしました。
第1次世界大戦では、国土が戦火にさらされ、生産はおとろえ、たくさんの人々を戦場で失いました。戦争には勝っても、その損害のつぐないを相手のドイツからとれませんでした。この時のドイツは、国民が飢えの危険にさらされるという状態だったからです。おまけに、こうした戦争の痛手がまだすっかりなおりきらないうちに第 2次世界大戦がはじまりました。たちまちフランスはドイツ軍にふみにじられ、国の大半を占領されてしまったのです。でも、自由を求めて力をあわせる人々はゲリラ部隊をつくってドイツ軍を悩ませました。そしてアメリカ、イギリスの連合軍がドイツ軍をやぶって平和がきました。ところが長い戦争の後に残ったものは、荒れはてた国土とものすごいインフレでした。おまけに、これまでフランスをささえてきた植民地では、独立運動がはげしくなったのです。
レバノン、シリアの独立につづいて、ベトナム、ラオス、カンボジアが相ついで独立しました。1962年には、これまで本国の一部と考えてきたアルジェリアも独立し、ほしいものは植民地から安く持ってきて、本国でつくったものを植民地に高く売りつけるという勝手なことはできなくなったのです。
自分の力で自分をささえきれなくなってしまったフランスは、戦後、大きな力をもつようになったアメリカの援助を得て国の建てなおしをはじめたため、軍備その他の面でアメリカの言い分を聞かねばなりませんでした。しかし一方、国を建てなおすためにはひとりひとりの自由を大事にしながら、みんなが力をあわせ、ひとつになって進むことが大事だと考えるようになって、数回にわたる3~5か年計画のもとに成果をあげています。さらに、ヨーロッパ各国と共同してEEC、ECといった経済協力にも積極的に力を発揮しています。
国の自由、人民の自由、個人の自由……フランス人は、自由を愛する国民です。そしてこれからも、自由を維持するために歩みつづけることでしょう。

補足事項
EC(ヨーロッパ共同体)の創立メンバーの1国であったフランスは、1993年にEU(ヨーロッパ連合)になってからも、中心メンバーとして指導的役割をになっています。通貨も、2002年に、フランス・フランからユーロに完全に切り替わりました。

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 26

● やさしく深い語りかけを心がける

幼稚園や学校へ行くようになって、先生のいうことを、なかなか理解しない子がいます。むずかしいことではないのに、のみこみの悪い子がいます。そして、その結果、けっして能力は低くはないのに成績のよくない子がいます。

こんな子は、家庭で小さいときから、同じことをなんどでもくり返して言い聞かせられながら育ってきたと思われます。子どもが納得するように心をこめて語りかけてやらずに、口先だけで語りかけ、そのかわり子どもには、いうことをきかなかったら何度でも、くどくど言い聞かせられる習慣がつけられたに違いありません。また、くり返し口やかましくいうばかりか、子どものいろいろなことに必要以上に世話をやき、けっきょく最後はだれかが手助けしてやってくれるという考えを、子どもにうえつけさせたのでしょう。

子どもは、親のくり返しのいいつけやいい聞かせになれるうちに、人のいうことを集中して聞かない子に、人のいうことをいいかげんに聞く子に、また、何度もなんども言い聞かせたあげく、さいごは 「しなさい」 ときびしく命令されないとものごとを実行しない子になってしまったのです。そして、先生のいうことをいつもいいかげんに聞くくせがつき、成績の伸びない、先生のいいつけをなかなか守らない、先生の話をつい聞き流して忘れものの多い子にもなってしまったのでしょう。

この子は、どうしていつも先生に注意されるのだろう、と親をなげかせる子になってしまってからでは手遅れです。とにかく幼いときから、いちどでわかるような、やさしく深い語りかけをしてあげること、これがいちばんです。

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 25

● 家族のあいだで思いやりの心を育てる

いまの子どもたちの多くにもっとも欠けているものは、他人への思いやり、自分のまわりへの思いやりだといわれています。それは、子どもの功利的な競争心をあおる受験体制や、子どもに人間の心のたいせつさを忘れさせる物質主義の社会などに問題があるのでしょう。そんな状況のなかでも、思いやりの心を育てるには、まず、家庭のなかで、家族のなかで、それを育ててやることです。
たとえば、まず、親自身がそれを見せること、実践することにあわせて、子どもに、まわりのこと、家族全体のことについて考えるよう意図的にさせていくことです。父親、母親の仕事のたいへんさを、ごくしぜんに話して聞かせて、両親のことを、子どもなりに思いやるようにさせる。兄弟がいれば、ひとり一人のことを話して聞かせ、やはり思いやるようにさせる。
またテレビのチャンネルのことにしても、どうしたら家族みんなが楽しくテレビを見ることができるかを、子どもにもしんけんに考えさせる。家のなかでの仕事の分担のことや、休日の家族みんなの楽しいすごし方や、みんながよろこぶ料理のことなどについても、誠実に意見を求めて、つねに、自分本位ではなく、全体のなかで物事を考えるようにさせていく。
つまり、これを裏側からいえば、いつもいつも子どものいうなりにならないこと、そして、親の命令どおりに子どもを動かそうとしないこと。たとえ小さな子どもに対してでも、可能なかぎり、親の考えをあたたかく伝えて、そのうえで、子どもの考えにも耳をかたむけること。ひと口でいえば、[子ども主体性を尊重する]ことが、たいせつではないでしょうか。

こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 24

● 子どもの努力に評価を与えましょう

無気力な子どもに共通するものがあります。それは、子どもの成績の結果ばかりを気にする母親の存在です。「こんな成績じゃダメじゃないの」 「こんな点数をとってきてダメじゃないの」 と。こんな叱られかたをした子どもは、その子なりに努力します。しかし、努力したからといって、かならずしもよい点数がとれるとはかぎりません。むしろ、努力しても、むくわれない場合がすくなくありません。

こんなとき、あいかわらず結果だけに目を向けて、ダメじゃないの、ダメじゃないのと、言いつづけられては心に傷を負います。わが子が、わが子なりにどんなに努力したか、どんなにがんばったかについて、ぜひ目を向けてあげてください。心をくばってやらず、ただただ、結果だけで、子どもを評価する母親であってはなりません。また、努力したことについても 「あなたは、いったいどんな勉強をしたの?」 「いつも、机のまえにすわって、どんな勉強しているの?」 と、小言をいっていませんか。そんなことを続けていると、子どもは、しだいに、努力することをばかばかしく思うようになり、努力することを放棄した無気力な子どもへ、ものごとに立ち向かうことを忘れた、やる気のない子どもへ変身してしまうのです。

子どもが、なにか模型を作ったときも同じです。できあがったものの見てくれが悪ければ 「いったい、なにを作ったのよ」 「あなたは、ほんとうにぶきっちょね」 などと言わず、「よくがんばったわね」 「どこが、いちばんたいへんだった?」 「どんなところ苦心したの?」 と語りかけてやることにより、子どもは作る喜びをみいだし、意欲的な行動力を身につけていくに違いありません。

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