今日12月4日は、電気火花を当てるとカエルの筋肉がけいれんすることを発見し、生体電気研究のきっかけをつくったイタリアの医師で物理学者のガルバーニが、1798年に亡くなった日です。

1737年、イタリアのボローニャに、医師の子として生まれたルイージ・ガルバーニは、1959年、ボローニャ大学で哲学と医学の学位をえて医者になると、1762年にボローニャ大学医学教授に就任しました。1766年に解剖学博物館の管理者に任命され、1775年、同大学の解剖学教授になると、とくに鳥類の聴覚器や泌尿器・生殖器の比較解剖学的研究で有名になりました。

やがて、動物電気に興味を持ったガルバーニは、研究室に起電機(静電気発生装置)やライデン瓶(静電気を貯める装置)を置き、1780年11月、皮をむいたカエルの後ろ足にメスが触れたとき、カエルの足が激しく震えるのを発見したことが、電流の発見の糸口になりました。この現象は、起電機の放電の結果だと考え、雷(大気中の放電)のときにも同じ現象が生じることを確認しました。また、鉄の格子に真ちゅうのかぎでカエルの足をつるしておくと、晴れた日でもけいれんが生じることに気づき、さらにを研究を深めて、神経や筋肉中に動物特有の電気があることを解明し、ライデン瓶のように筋肉中にたまった電気が金属で回路がつくられたときに放電すると考えました。

こうして1791年、『筋肉運動における電気の作用に関する覚書』として出版すると、この動物電気は、「ガルバーニ電気」といわれて有名になり、各国の学者たちはこぞって電気現象についての研究を進めました。

1796年にボローニャは、フランスのナポレオン軍によって占領され、イタリア共和国の一部となりました。新国家に忠誠を示さなかったためにガルバーニは教授の職を追われてしまい、失意のうちに亡くなりました。

やがて、動物の身体以外の適当な導体を連結するだけで電流が生ずることがわかり、1800年に同じイタリア人のボルタが電池を発明して、動物電気の問題に決着をつけました。しかし、ガルバーニのいう動物電気が、脳から出て神経を通り身体中に伝わるという生体電気研究は、今日の神経系の電気パターンや信号の研究につながっています。


「12月4日にあった主なできごと」

1027年 藤原道長死去…平安時代中期の貴族で、天皇にかわって摂政や関白が政治をおこなう「摂関政治」を独占。藤原氏の全盛期を生きた藤原道長が亡くなりました。

1722年 小石川養生所設立…江戸幕府は、貧しい病人のための無料の医療施設として、東京・文京区にある小石川植物園内に小石川養生所を設立しました。第8代将軍徳川吉宗と江戸町奉行の大岡忠相が主導した「享保の改革」における下層民対策のひとつで、町医者の小川笙船が、将軍への訴えを目的に設置された「目安箱」に投書したのがきっかけでした。幕末まで140年あまりも、江戸の貧民救済施設として機能したといわれます。この診療所の様子は、山本周五郎の小説『赤ひげ診療譚』や、この原作をもとに黒沢明が映画化した『赤ひげ』で知られています。

1890年 血清療法…ドイツの細菌学者コッホのもとへ留学していた北里柴三郎は、破傷風とジフテリアの免疫血清療法を発見したことを発表しました。