今日2月14日は、「バレンタインデー」または、「セント・バレンタインズ・デー」といわれ、世界各地で男女の愛を誓う日とされています。それでは、なぜそういわれるようになったのでしょうか。もっとも一般的な説は、強力な軍隊を持ったことで知られる古代ローマ帝国の時代にさかのぼります。

3世紀の後半にローマ皇帝だったクラウディウス2世は、愛する人を故郷に残していると士気が下がるという理由で、兵士の結婚を禁止していました。ところが、司祭のバレンティヌス(英語読みバレンタイン)は、これは神の心や人間愛に反するとして、皇帝の禁止を無視して秘かに兵士を結婚させました。ところがこれが判明し、269年のこの日、拷問にかけられて殺されてしまいました。やがてバレンタイン司祭は、愛のために命をささげたということで聖人とされ、この日を「愛の日」と定め、若い男女が、好きな相手に手紙やプレゼントを贈るようになりました。

また、欧米には2月15日に、豊作と男女の結びつきを祈るルベルカリアという祭りがあったことや、うるう年の2月29日のことを英語でleap year(跳躍の年) といい、女性から結婚の申し込みが許される日とされていたこともあり、いつしかこれらの行事が、殉教したバレンタインの行為と合体して、愛を告白する日になったともいわれています。

なお、日本では、バレンタインデーに女性が男性にチョコレートを贈る習慣が根づいていますが、こんな習慣があるのは日本だけで、欧米では、男女をとわず、赤いハートをつけた手紙やキャンデーなどをハート型の箱に入れて贈ったりして、想いを告げる日とされているようです。こんな欧米の習慣をヒントに、ある日本の菓子メーカーが、1959年ころに女性から好きな男性にチョコレートを贈りましょうと宣伝し、デパート各店がバレンタインデーの普及に努めましたが、なかなか定着しませんでした。

ところが、オイルショックに見舞われて、高度経済成長が終えんした1970年代前半になると、チョコレートの売上が急増しだし、不況にあえいでいた小売業界がより積極的にマーケティングを行ったことで、バレンタインデーにチョコレートを贈答するという習慣が、小学高学年から高校生までの学生層に広まり、1980年代後半には主婦層や職場にも普及していきました。こうして、女性が男性にチョコレートを贈るという「日本型バレンタインデー」が行事のように定着すると、「義理チョコ」などという、愛とは関係のない日本独自の習慣が登場したり、この日にもらった男性がお返しをする「ホワイトデー」などというのも登場しています。これなどは、まさにチョコレート業界の陰謀といわれてもしかたがありません。

チョコレートでなくては愛がとどかないわけではありませんから、そろそろ違ったプレゼントを考える時期にきたような気がしますが (もらえないヒガミ?) いかがでしょうか。


「2月14日にあった主なできごと」

940年 平将門死去…武士による独立国家を関東に築こうと「将門の乱」をおこした平将門が亡くなりました。同時期に瀬戸内海でおこした藤原純友の乱とあわせて、承平・天慶の乱といい、武士が勃興するさきがけとなりました。

1779年 クック死去…キャプテン・クックのよび名で知られ、世界の海を縦横に走り回って、さまざまな業績をのこした18世紀の海洋探検家クックが亡くなりました。

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