たまには、子どもたちに身近な科学のおもしろさを、お話ししてあげましょう。「おもしろ科学質問箱 32」

X線というのは、1895年にドイツのウィルヘルム・レントゲンによって発見された放射線のことです。レントゲン線ともよばれ、物質を通りぬける性質(透過性)があるために、未知で不思議なものという意味でX(エックス)線と命名されました。

X線は、光と似た電磁気の波で、光とちがうのは、波長(波と波の距離)が光にくらべて1万から100万分の1ほど短いために、光が通りぬけられない物質でもらくらく通りぬけることができます。ところが、X線は骨や歯、特別な物質(バリウムなど)を通すことはできません。そこで、胸の骨を調べるときは、胸にX線をあてて、写真をとります。写真といっても影の写真で、皮膚や筋肉をつきぬけて写真フィルムにあて、現像してできたネガフイルムには、X線の影になった骨が白く浮き上がってみえます。

そのフイルムを見ながら、医師は異常がないかを調べるわけです。医学では、このX線を使って肺結核や骨折のぐあいを調べたり、ガンにX線をあててガン細胞を殺したりします。骨や造影剤を使って消化管や血管、さらにはCT(コンピューター断層撮影)などで、さまざまな内蔵や身体の中の状態を正確に検査することができます。胃のレントゲンでバリウムを飲むのは、そのままでは写らない胃袋を造影剤で映し出すわけです。X線は医学以外にも、工業では金属材料や製品にきずがあるかないかを透視したり、生物学ではX線を生物にあてて変種をつくる研究に、物理学では結晶の構造の研究に使われるなど、人類にとってとてもたいせつなものになっています。

X線は、空気をもとの量の1億分の1までポンプでぬいた「X線管」の中で作られます。管はふつうガラスでつくられ、中には2つの電極(いっぽうにタングステンの針金をまいた陰極、もういっぽうにはターゲットというタングステンのかたまりの陽極)がはいっています。ターゲットと陰極の間に高い電圧をかけると、陰極から出た電子が激しくターゲットにぶつかり、速度が毎秒10万kmから28万kmに達します。すると電子は急に止まり、電子が持っていたエネルギーは熱にかわり、その一部がX線となって、X線管のガラス窓から外に出ます。

なお、X線は放射線の一種なので、被ばくは大丈夫かという心配があります。日本人は、年間に平均2.1ミリシーベルトという放射線をあびているそうです。これに対して、胸部のX線撮影では、0.06~0.3ミリシーベルトの被ばくとなり、胃のレントゲンでは、3~4ミリ(以下シーベルト略)、 腸レントゲン 4~6ミリ、頭部CTで0.5ミリ、腹部CTで3~6ミリの被ばくとなります。放射線量が250ミリ以下は、医学的検査での症状は認められないとされています。でも、不必要な被ばくは避けるに越したことはありません。


「11月7日にあった主なできごと」

1336年 室町幕府始まる…足利尊氏が政治方針を示した「建武式目」を制定し、室町幕府が成立しました。光明天皇(北朝)を立て、政権を握った尊氏は、後醍醐天皇(南朝)を吉野に追いやったため、南北朝が対立することになりました。

1867年 キュリー夫人誕生…ラジュームを発見して夫ピエールと共にノーベル物理学賞をもらい、夫の死後ラジュームの分離に成功してノーベル化学賞をえて、2度もノーベル賞を受賞した女性科学者のマリー・キュリーが生れました。