今日8月3日は、江戸時代の前期に農民の願いを将軍に直訴して、死罪となった佐倉惣五郎が、1653年に亡くなったとされる日です。

下総国の佐倉藩公津村(現在の千葉県成田市内)では、堀田家が藩主をつとめていましたが、印旛沼の埋めたて事業などが失敗したため、年貢の取り立てを年々厳しくしていました。ある時、祝いごとにかこつけて名主(村役人のかしら)が宴会に印鑑持参で呼び集められて、強引に年貢を5年間2割増しするといいわたされました。

名主のひとりだった佐倉惣五郎(木内宗吾)は、これに反発して江戸に出向き、将軍の行列を待ち受けて、竹の先に訴え状をさしはさんで直訴しました。こうして農民の願いは聞き届けらたものの、正式な手続きのない行為だったため、惣五郎は妻と4人の子ともども死罪になってしまいました。こののち、堀田家は武士の身分をはく奪された上、所領と城・屋敷を没収されたということです。佐倉藩の農民たちは、惣五郎の霊堂をつくり、今なお祀り続けています。

この話は、江戸時代中期以降『地蔵堂通夜物語』や『東山桜荘子』などの物語、歌舞伎『佐倉義民伝』などに取り上げられて、義民として知られるようになりましたが、一揆や直訴を行ったという記録がないため、架空の話ではないかといわれてきました。しかし近年になって、1652年の検地帳にその名が発見されたため、実在したことが判明しています。


「8月3日にあった主なできごと」

1792年 アークライト死去…水力紡績機を発明するなど、イギリスにおこった産業革命の担い手となった アークライト が亡くなりました。

1862年 新渡戸稲造誕生…国際連盟事務局次長などを通じ、日本の国際的な発展に寄与した教育者 新渡戸稲造 が生まれました。