こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 84

「○○ちゃんを見なさい。ちゃんとやってるじゃないの」 「みんなができるのに、どうしてできないの」 「そんなことじゃ、みんなに笑われるわよ」……。子どもを叱ったり、いましめたりする母親をよく見かけます。よその子と比較しながらわが子を見、よその子より劣っていると思えば案じ、よその子より優れていると思えば安心する。「♪ ナンバー1にならなくても もともとは特別なオンリー1」 と詞の内容に感銘して歌っても、おそらく、ほとんどの母親が知らず知らずのうちに、よその子との比較をしてしまっています。人間はひとり一人違う、子どもだってひとり一人違うと理屈の上ではわかっていても、どこかで置き去りにしてしまっているとしか考えられません。

いつもはテストで50点、60点しかとらないわが子が70点を取ってきたら、「だめだめ、○○ちゃんは100点だったっていうじゃないの、70点なんかじゃ……」 と子どもの尻をたたくのは絶対にやめ、「あら、今日は70点もとったの、頑張ったわね。すごいすごい」と語りかけてやる、つまり 「うちの子」 という一人の人間を尊重し、わが子を大きくとらえながら導いてあげることが大切なのです。

わが子に何か欠点のようなものがあるとしても、それを他との比較で案じたり戒めたりするのではなく、わが子の総体をあたたかく見つめてやりながら、その長所や短所を観察していくようにすれば、いたずらな不安も消え、「ほんとうのわが子」 の姿もみえてくるに違いありません。