こうすれば子どもはしっかり育つ 「良い子の育てかた」 82

ある公園で見かけたことです。木陰のベンチで母親同士おしゃべりをしていたお母さんの一人が、向こうでうずくまるようにしているわが子へ声をかけ、それから、次のようなやりとりが始まりました。

「さぁ、帰るわよ、いらっしゃい」 「・・・・・」 「どうしたの? 早くいらっしゃい」 「ママ、ちょっと待って」 「どうしたの? 何やってるの」 「ありんこがいっぱいいるんだ」 「ありんこなんて、いつでも見られるでしょ」 「だって、たくさんつながっていて、おもしろいんだもの」 「だめ、だめ、ママ、ご用があるから帰るの、早くいらっしゃい。あら、ありなんかにさわっちゃだめ」 「さわってないよ、ありんことありんこが、お話してるみたいで、おもしろいんだ」 「だめ、だめ、帰るわよ」

結局、こうしてママは、他のお母さん方には 「それでは、どうも、お先に」 とバカていねいな挨拶をしてベンチを立ち、子どもはしかたなく、なごりおしそうに後からトコトコ。

こんなとき、ママはどうして 「あら、ありさんがたくさんいるの?」 といって子どものそばへ行き、わずか5分でもいいから 「ほんとに、ありさん、お話してるみたいね。どんなこと、お話しているのかな」 と語りかけながら、わが子のそばにうずくまってやらなかったのでしょう。何かに興味を示したとき、何かに夢中になっているとき、子どもは一番成長するということを、このママは、ご存知なかったのでしょうね、きっと。