こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 78

ある駅で見かけた30代半ばと思われる母親と、5~6歳の男の子と3歳くらいの女の子。この3人の母子が電車に、ホームにはおばあちゃん。おそらく、おばあちゃんの家へ遊びに行っていた母子が、おばあちゃんに送られて家へ帰るところです。電車に乗りこむ前からシクシク泣いていた男の子が、やがて電車が走り出すと、さらに激しくなきだしました。おばあちゃんとの別れが悲しくてたまらなかったのでしょう。

女の子に 「お兄ちゃん、男の子のくせに、泣くのおかしいわよ」 といわれても、声を殺すように泣き続ける男の子。すると、母親がいいました。「いいのよ、こんな時は泣いてもいいの。お兄ちゃんはやさしいから、泣きたくなったのよね。泣いてもいいわよ。お母さん、弱虫で泣くのは大きらい。でも、やさしくて泣くのはいいの。お母さんだって、おばあちゃんと別れるのは悲しくて、本当は泣きたいんだから。だって、おばあちゃん、また、ひとりぼっちでしょ。おばあちゃんのさみしい気持ちを思うと、たまらないわね」

これを聞いて、下の女の子も涙ぐみながら、じっと窓外を見つめたままでした。男の子が泣きやんだのはそれから10分もたってからでしょうか。こんな時、「いつまでも、めそめそ泣くんじゃありません」 と叱る多くの母親を見てきただけに、何となく暖かいものを感じたものでした。