こうすれば子どもはしっかり育つ「良い子の育てかた」 64

母親が子どもを叱るとき、「何やってるの」 「早くしなさい」 「そんなことじゃダメでしょ」 「勉強しなきゃダメじゃないの」 などと、どなっていることが多いようです。

実をいうと、この叱り方にはほとんど効果がありません。子どもは 「はーい」 と返事だけはしても、母親の言葉は頭の上を素通りさせておしまいです。そのうえ、かげで 「うちの母親はうるさい」 と、子どもにいわせることになってしまいます。

母親がわが子へ言葉をかけるとき、言葉を投げかけるのではなく、心をともなった 「語りかけ」 でなければなりません。したがって、子どもに何かを言いつけるときも、子どもを叱るときも、母親は腰を折り、子どもの目を見つめながら、子どもの肩に手をかけるようにして語りかけることが大切ではないでしょうか。それは、語りかけるというよりも 「心を伝える」 といった方がよいかもしれません。

子どもが、ほんとうに心を動かすのは、母親の心があたたかく伝わったときだけです。子どもの目を見ながら、静かな声で 「もうちょっと早くしてくれたら、お母さん、うれしいんだけどなあ」 「あなたががんばっていると、お母さん、いちばんうれしいのよ」 などと語りかけること──この語りかけの1回は、「ダメじゃないの」 の100回にもまさるといっても過言ではありません。