「落ち葉する木と、落ち葉しない木があるのはどうして ?」  おもしろ科学質問箱 1

晩秋になると、落ち葉する木がたくさんあります。イチョウの黄色い葉、カエデやツタの赤い葉、ケヤキやブナなどのオレンジから茶色の葉、色とりどりの葉がとてもきれいです。でも、マツやモミ、スギやツバキなどは、一年中緑色のままです。
木の種類には大きく2つの種類にわかれていて、紅葉する木を「落葉樹」、紅葉しない木を「常緑樹」(一年中緑色の木)というふうに分類しています。

紅葉する前は、どの木も緑色をしています。緑といっても、うす緑も、濃い緑、黄緑とかいろいろですが、どれも緑色でした。どうして緑色なのかというと、植物には「葉緑素」というのがあるからです。この葉緑素という緑色の成分が葉っぱの2/3を占めていて、からだを作る大事な栄養や食べ物をつくりだしてくれます。太陽の光、空気の中にある二酸化炭素、根から吸い上げた水と、葉緑素がいっしょになって「光合成」ということをやってくれるおかげです。

ところが、秋が深まると太陽の光が弱くなり、気温が低いために根が水分を吸い上げにくくなって、栄養や食べ物が作り出しにくくなります。そのため葉緑素も分解されてなくなってしまいます。すると、葉緑素の緑にかくれていたほかの色素が姿をみせます。たとえば、イチョウはキサントフィルという色素のために黄色になり、カエデはアントシアニンという色素が表にあらわれるため、赤くみえるのだそうです。

そして、紅葉した葉はやがて落ちます。葉を落とすことによって、冬ごもりの準備をするのです。動物でも食べ物が得られにくくなる冬に、ヘビやカエル、リスやヤマメ、クマが穴を掘って冬眠するように、落葉樹も冬にそなえて冬眠するといってもよいのかもしれません。

いっぽう、常緑樹の葉がいつまでも落ちないわけではありません。1年を通じて葉が少しずつ落ちて、また新しい葉ができるため、一年中いつも緑色でいられるわけです。