前日(4/23号)に続き、25年ほど前に初版を刊行した「子どもワールド図書館」(38巻) 第20巻「アフリカ(1)」 の巻末解説と、その後の変化を記した補足事項を記します。

「アフリカ(1)」 について

アフリカ(主として北西部)は、新興国家がひしめきあっている大陸です。大いなる未来への希望にみちあふれている大陸です。しかし、独立後20年たらずの国ぐにの現実をみると、あまりにも多くの難問をかかえています。
その難問のなかで、各国に共通しているもっとも顕著なものは、産業のおくれです。
アフリカは、地下資源の宝庫だといわれています。たしかに、石油、天然ガス、ダイヤモンド、金、白金、ボーキサイト、銅、リン鉱石などの埋蔵量は、世界一あるいは世界有数です。しかし、それらの鉱物の産出国はおよそ半数の20数か国に限られ、しかもこの鉱業以外の産業は、ほとんどおしなべておくれているのです。
たとえば農業は、綿花、カカオ、ピーナッツなどの生産は盛んでも、原住民のアフリカ人たちのほとんどは、自分たちの食べる分だけは自分で作るという、原始的ともいえる農業を、いまだに営んでいます。しかも、綿花、ピーナッツなどを栽培する大農園の多くは、ヨーロッパ人の経営になるものです。
これでは、国の産業としての農業の発達も、こんごの人口増に対応する計画的な農作物の生産ものぞめません。多くの国が農業国という看板をかかげていながら、その内実は、たいへんに貧困だというわけです。
農業に関連していえば、林業も、未開発だといってもよいくらいです。大陸中央部などに広大な森林が広がってはいます。しかし、輸送手段のたちおくれが、せっかくの森林をねむらせてしまっているのです。
つぎに、アフリカの国ぐにの近代化という立場から考えて憂慮されているのが、工業の未発達です。工業国といえるのは、南アフリカ共和国とエジプトなどの数か国にすぎず、40か国以上は、工業生産力はゼロもしくはゼロに近いという状況です。資本の不足、科学・技術の後進性、それに、ながいあいだ本国への原料供給地であったが植民地時代のなごりが、各国の工業の発達を停滞させているのです。
さいごに、漁業となると、これまたほとんど発達していません。植民地時代のヨーロッパ人たちは、陸地の資源にだけ目を向けて、港を開こうとはしなかったのです。

以上のように、アフリカ大陸の産業を概観してみると、そのおくれの大きさが、よくわかります。結論めいたものをだせば、アフリカの国ぐには、「独立」によって政治的には独立したものの、経済的には、多くの国がまだ独立し得ていない、ということになるようです。いいかえれば、経済的には、今もって植民地時代の暗さが続いている、というのが現状です。産業の発達がない限り、国は富みません。国民の生活も豊かにはなりません。アフリカ大陸の国ぐにが、近代国家への道を切り開いていくためには、自国の資本による、自国の国民のための産業の開発が、急務といえるようです。

ところで、こうしてアフリカの産業のおくれを考えてみると、どの国の発展にも、ながいあいだの植民地政策が大きくわざわいしたことが、よくわかります。
アフリカ大陸に侵入してきたヨーロッパ人たちは、おぞましい黒人どれい狩りをはじめとして、この広大な大陸でいったい何をしたのか。ヨーロッパ人たちの植民地政策は、数億ものアフリカ原住民たちに、何を残したのか。原住民たちは、独立のために、いかに戦ったのか。黒人たちが打ち鳴らす太鼓のひびきが訴えるものは何か。太鼓のリズムの奥に秘めるものに耳を傾けてみることが、アフリカの理解のためにはたいせつなことのようです。

補足事項
1990年代のはじめから武装イスラム集団によるテロが活発になり、国内情勢は不安定なアルジェリア、最近は沈静化しつつありますが、今も国家非常事態宣言が発令されたままです。1980年代から、反欧米、反イスラエルを掲げるリビアは、アラブ諸国の中でももっとも強硬な国家として、欧米からテロ国家と非難されてきました。最近少しずつ軟化していることから、アメリカはテロ支援国家指定からはずして国交正常化を発表しました。リベリアは、1989年におきた内戦により30万人以上が難民となるなど、西アフリカ最悪の紛争地域となっています。
このように、この巻で紹介した地域には、政治的に不安定な国がいくつもあります。一方、モロッコ、ナイジェリア、チュニジアのように、政治的にも経済的にも比較的安定している国もあります。どの国にも安全に行き来できるようになるためには、まだまだ時間がかかりそうです。