私が、「いずみ書房」という出版社をはじめる端緒となったのは、英国レディバード社の刊行するコンパクト版の絵本シリーズ「レディバードブックス」との出会いからだった。このことは、5月30日にブログを開始した当初数回にわたり詳述してきたので省略するが、会社をはじめてからも、レディバード社の刊行するシリーズはいつも気になる存在で、ユニークな新刊を入手するたびに、いつかこのシリーズの翻訳権を獲得して、日本語版を刊行したいと考えていた。その願いが、思わぬことがキッカケになって、実現できることになった。このあたりの事情を何回かに分けて綴ってみる。

当社の草創期に、最大の卸先だったJ・チェーンが倒産したため、2千万円を超える不渡りをこうむった話を書いた。この時の大苦戦物語に多くの方から「よく乗り切りましたネ」といわれるが、振り返って考えると、若さとみなぎる情熱があったからこそ、あの苦難を乗り越えられたものと今さらながらに思う。最終的には、なけなしの土地を1000万円で売り払うことで決着し、その後のフランチャイズ販売組織を立ち上げることができた。そして、いずみ文庫(童話図書館科学図書館・ワールド図書館伝記図書館)と、「みんなのおんがくかい」という5大シリーズを刊行し、全国販売組織の基盤を築くことができた。そして、これに続くシリーズが1985年に発売した「レディバード図書館」(27巻・別巻8)であった。

その頃の出版直販界は、厳しい風が吹きはじめており、これまで業界をリードしてきた「ブックローン」や「ほるぷ」といった大手も苦戦が続き、組織の衰えが目立ってきたころであった。当社も例外ではなく、新商品の投入にもかかわらず、前年比横ばいかダウンが続き、新たなシリーズを刊行できる資金的余裕はまったくなくなっていた。