● 歴史のなかに生きる意味を認識させることができる
人間はだれでも、歴史のなかに生きている。逆にいえば、人間はすべて、歴史をつくりながら生きているのである。ところが、戦後の日本人の多くが、日本のおぞましい過去の歴史を否定するあまり、歴史とかかわりあって生きることを忘れすぎている。この 「せかい伝記図書館」 に登場する人物で、歴史のなかに生きなかった人などひとりもいない。人類の歴史の奔流のなかに生きたからこそ、歴史に名をとどめたのだ。この 「せかい伝記図書館」 をとおして、一人ひとりの人間が、歴史をつくりながら生きることの大きな意味も、認識させてあげてもらいたい。子どもたちの生き方に、きっと厚みが加わるはずである。

● 自然に歴史への教養も深めることができる
小学校から中学、高校へと進学するにつれて、日本史、世界史を学ぶようになる。ところが、その教育方法の基本になっているのは、相も変わらず、年代や事件をおぼえる暗記主義だ。これでは、歴史への興味が、根本的なところでわくはずがない。この 「せかい伝記図書館」 では、歴史上の人物を語ることをとおして、その人が生きた時代も明らかにされている。したがって、巻を追って伝記を読みすすめるうちに、いつのまにか、歴史の流れをも読みとることができる。たとえば、日本の歴史については、日本の国のおこり、古代の朝廷のすがた、武士のおこり、幕府のおこり、源平争乱の全容、鎖国のはじまり、明治維新のおこり、それに学問や芸術 (俳諧、書画、彫刻、茶道、能、人形浄瑠璃、歌舞伎他)などのおこりをも、自然に知ることができる。しかも、たとえ子ども向きの伝記とはいっても、歴史的な事実については、どのような文献にも負けないほどの考証がなされている。この 「せかい伝記図書館」 によって子どもたちに、歴史的な教養を身につけさせてもらいたい。