J・チェーンが1976年11月に倒産したことは以前触れたが、倒産というのは通常、不渡り手形を2回出すことにより、銀行取引が停止されることをさす。その後、債権者や株主などが利害を調整しながら会社更生の道をたどるか、会社を整理する道(和議)か、破産に向かう。

破産とは、債務者が経済的に破綻してしまい、その弁済能力では債務を完済することが無理となった場合、強制的に債務者の全財産を裁判所が管理し、すべての債務者に公平に分配する裁判上の手続きをいう。債務者自らが破産宣告を裁判所に申し立てる場合(自己破産)と、債権者が破産宣告を申し立てる場合とがある。

J・チェーンは自己破産を裁判所に申し立て、それを受理した裁判所は破産宣告し、破産管財人が指名されたという。破産管財人は、すぐに債務者(破産者)に提出させた書類などをもとに債権者を特定し、破産宣告時に所有していた財産を占有管理することになる。

破産管財人は、債権者集会を開き、調査結果を債権者に報告する。債権者に異議のない場合は債権を確定、財産を入札や競売するなどして売り払って資金にし、その資金から未払いの税金、未払い給与、管財人の手数料などを差し引いた分を、債権額に応じた率で支払いを行って終結する。

当社の債権額2500万円は認められたが、J・チェーンの1000名を超える加盟店も債権者に入るため、債権者に分配される資金はほとんどないようだ。そんな資金を当てにはしていないが、困った問題はJ・チェーンに納品した「ポケット絵本」の在庫のことである。4巻組セットが10万セット前後もあるという。管財人からの案内によると、1977年3月22日に公開入札を行うようだ。もし、当社の入札額より高い金額を提示する業者が現れたとしたら、順調に育ちつつある販売組織が壊滅しかねない。頭の痛い難問が急浮上してきたのである。